──別荘地としては他にも候補があったと思うのですが、なぜ熱海にされたのですか?
最初は、逗子・葉山、軽井沢、熱海の3つが候補だったんですが、海が近いことと温泉がひけるという2つの理由で決めました。家から車で5分のところに海水浴場があるので、早朝の誰もいない時間帯に泳ぎに行くこともできます。海の中にいるとデトックスされる気がしますし、安心感があるんですよね。あとは、食べることが大好きなので、食べ物が美味しいというのも大きいです(笑)。
──熱海にはどんなコミュニティがありますか?
若くておもしろい方達が移住してきています。熱海市の齊藤栄市長は新しいことにトライするのが好きですし、新しいことにチャレンジしたい人たちが集まっているという感じです。逗子や葉山ほどおしゃれではないので(笑)、手の加えようがあるというのも熱海の良さのひとつかもしれません。
私自身も、かつての体験とコロナ禍での学びを経て、免疫力を高めることが大事だという考えのもと、数名の医師と共に熱海に「バイオハックラボ」をつくったんです。今は月に1度のペースで勉強会行うなどのラボ活動をしています。
ゆくゆくはバイオハックラボとシニアのオンラインサロンを融合して、熱海に農園のあるケアリビング的(必要に応じて介護が受けられる)なコミュニティ施設をつくりたいと思っています。できれば、死ぬまで自分の足で歩き、自分の口から美味しいものを食べ、自分の意思で生活したいですよね。それを可能にする場所です。
そこで必要なのが、かつて一緒に働いたようなカンボジアの人たち。ホスピタリティあふれる彼女たちに働きに来てほしいと思っています。これまでの経験のひとつひとつは一見関係ないように映るのですが、実は全部繋がっている。今は、そのパーツをつくっている段階です。
──楠見さんは、熱海のどんなところが好きですか。
何より、朝日がものすごくきれいなんです。屋上で朝日を浴びながらヨガをするのが好きですね。正直、常に合理性や効率を求めていた私が「朝日を浴びながらのヨガが気持ち良いんです」なんて言っていること自体、自分でもびっくりなのですが。でも、太陽から本当にエネルギーがくるんだなとか、そうすると朝ごはんも美味しいんだなとか、当たり前のことに気づけます。
おもしろいのは、生活はスローになったけど、仕事自体のパフォーマンスは前より良いような気がすること。ゆったり過ごすなかで、いろんなことを思いつくんですよ。だから、熱海は生み出す場所、自分をより進化させてくれる場所だと思っています。