ゴールドマンのアナリストたちは最近のリポートで、新型コロナウイルスのワクチンの開発が急ピッチで進められていることに言及したうえで、「最もありそうな結果」として、少なくとも1つのワクチンが今秋に米食品医薬品局(FDA)の承認を得られそうだとの見方を示した。
リポートでは、2020年の米GDP成長率予測は第3四半期が25.2%、第4四半期が8%(いずれも年率換算)で据え置く一方、2021年の予測は以前の5.6%から6.2%に引き上げた。米連邦準備制度理事会(FRB)は2021年の米GDP成長率を5%と予測している。
アナリストたちは、ワクチンが使えるようになる時期が早まれば景気回復の見通しが上向くだろうと記述。米国民が「以前には新型コロナの感染リスクにさらしていた活動」を再開することで、2021年上半期には消費者支出が加速すると予想した。
米国の失業率については、2020年の予測は9%(足元では10.1%)で据え置く一方、2021年は7%から6.5%に修正した。
米政府が資金援助している新型コロナウイルスのワクチン候補では、米モデルナ、英アストラゼネカ(オックスフォード大学との共同開発)、米ファイザー・独ビオンテック連合による3つがフェーズ3(第3相)の治験に入っている。薬事規制専門家協会(RAPS)によると、新型コロナウイルスのワクチンを開発している企業は42社を数えるという。
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、米国の新型コロナウイルスの累計感染者は約520万人、死者は約16万5000人にのぼっている。
ゴールドマンは一方で、景気回復を脅かしかねない要因として、米議会が追加の経済対策で合意できないおそれが出ていることを挙げている。野党民主党とホワイトハウスの協議は暗礁に乗り上げており、ゴールドマンは「議会で追加対策法案が成立していないため、目先の下振れリスクは高まっている」と指摘している。