先端テック企業に聞く2025年までに世界を変える17の方法|後編

パンデミックの危機を回避するには、あるデータに鍵が隠されている (Shutterstock)

今後5年間でテクノロジーが世界をどう変えるか、テクノロジー・パイオニア2020選出企業に見解を求めました。

量子コンピューターから、普及が進む5G技術、そして癌の長期コントロールまで、彼らの近未来予測の後編をご紹介します。(前編はこちら


10. 建設の未来はすぐそこ


建設は、製造工程が同時並行で進み、大規模な管理、変更、生産が可能となります。それは、家、オフィス、工場などの構造物を建てるための、より安全で、迅速、費用効率の高い方法となり、都市やその他地域で人々が繁栄していくために必要なものとなるでしょう。建設産業では、IoT(モノのインターネット)、AI、イメージキャプチャなどを活用したリッチなデータセットが広く作成されており、この構想は既に実現しつつあります。データを活用して建築工程を深く理解することにより、現場の専門家たちが直感を信頼してリアルタイムでの意思決定を行う能力が大幅に高まり、信頼と仕事を得ながら学習し成長し続けていくことができるようになります。

実用的なデータによりこれまで見えていなかったものに光があたることで、リーダーたちは問題が起きてから対処するのではなく、先を見越したプロジェクト管理ができるようになります。計画と実行を正確に行うことで、建設の専門家たちは環境に振り回されるのではなく、それを制御し、管理、自動化、教育がより容易で反復可能な工程を生み出すことができるようになります。

これが建設の未来の姿であり、それはもう既に始まっているのです。

──メイラブ・オーレン氏、バーサタイルCEO兼共同創業者

11. ギガトン単位の二酸化炭素除去で気候変動問題を解決


二酸化炭素除去などのネガティブエミッション技術の規模拡大により、気候に影響するレベルで二酸化炭素の空気中からの除去を実現します。これは、地球の気温上昇を1.5℃までに抑えるために必要なこと。人類はこれから、これ以上の炭素を大気中へ放出を行わないために可能な限りの努力をする一方で、過去に排出されてきた二酸化炭素を空気中から永遠に取り除くためにもできる限りのことをしていくでしょう。

この技術が広く利用できるものになれば、二酸化炭素除去の需要は増加し、そのコストは下がります。二酸化炭素の除去はギガトン単位にまで拡大し、空気中からやむを得ず排出した分を除去するための責任ある選択肢となっていくでしょう。個人も大気中の二酸化炭素レベルに直接的かつ気候変動にプラスとなる影響を与えられるようになります。そして、究極的には地球温暖化が危険なレベルに到達するのを防ぎ、人類が気候変動を食い止めるチャンスを与えるでしょう。

──ジャン・ブルツバッカー氏、クライムワークス共同設立者兼共同CEO

12. 医学の新時代


医学は、より良い臨床判断を目指し、ヒトの生物学の知識と理解を深めることを常に追求してきました。AIは、これまで十分に活用されてこなかった医療の「ビッグデータ」から前例のないレベルでより多くの洞察を抽出することができる新しいツールであり、医学とその応用の世界を変えていくでしょう。

──ブランドン・スー氏、ルニットCEO
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文=Saemoon Yoon Community Lead, Technology Pioneers, World Economic Forum Geneva

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