ビジネス

2020.08.14

マスクにアートを。約1カ月で進んだ異例のプロジェクトの舞台裏

アーティストの五木田智央がデザインしたマスク


ローンチまでの怒涛の5週間


──今回のプロジェクトで驚いたのが、原案が出てからローンチまでのスピード感です。構想から販売開始まで、たったの5週間で辿り着いたんですよね。

頭山:いずれは類似サービスが出てくるだろうと予想していたので、二人の間に「一刻でも早く商品を世の中に出そう」という共通認識がありました。アーティストの選定からパッケージ開発、ロゴ決めまでにかかった時間は2週間ほどだったと思います。

川村:コロナの影響で制作側も直接会うことができず、全てリモートで話を進めたからこそのスピード感だったかもしれません。ECサイトの開発はもちろん、商品画像の撮影も、カメラマンの自宅に商品を送って自宅で撮影していただいたり。通常時は複数人で集まって決めるようなこともほとんど二人で決めて、連絡を取るのはLINEか電話。Slackすら使いませんでした。

頭山:あとは、私たちの価値観がかなり近かったのも、スムーズに話が進んだ要因だと思います。どちらかが何かを言ったら「それ、私も思っていました」みたいな。その上で頻繁に連絡を取ってすり合わせをしていたので、二人の間に齟齬が生まれることがありませんでした。

クリエイティブな部分に関して妥協できない部分がいくつかありましたが、そこも気付いたらすぐ話し合って解決するようにしていました。もしかしたら、川村さんが寛容に受け止めてくれていただけなのかもしれないですが(笑)。

川村:そこはプロジェクトの目的を考え、短い準備期間であってもプロダクトに関しては絶対妥協したくないと思っていました。さらにありがたいことに、メーカーさんからも国内生産で短納期で生産できるご提案をいただき、スムーズに話が進みました。最終的に出来上がったサンプルをアーティストとの間で調整をする作業を経て、5月15日には販売開始。当初は5月の頭にローンチを予定していたので、これでも少し遅いくらいの感覚でした。

──実際に販売をしてみて、手応えはどうでしたか?

川村:ローンチ前から雑誌やWEBメディア、SNSでもしっかりPRをしていましたし、ティザーサイトにも結構な数のアクセスが来ていたので、元々好感触ではありました。実際、5月の出荷枚数は販売開始から2週間程度にも関わらず、約5000枚となり、みなさんの期待に応えられたのかなと思います。ちょうど外出自粛要請が解ける少し前でマスクへの需要が高まっていた頃に販売開始をしたのも良いタイミングでした。
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文=倉益璃子 人物写真=小田駿一

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