ライフスタイル

2020.08.30 12:00

目立ってはいけない不自由な時代。「ソロキャンプ」という休みのすすめ

自然が教えてくれるシンプルな暮らしを

知らぬ間にGoogleカレンダーの予定を埋められ、タスクという名で仕事が管理され、メールの言葉選びに悩み、Slackでは迅速なやりとりが要求される。そんな毎日を過ごしていたら、生産性を考えずに「自然のなかでのんびりしたい!」と願うのは当然だろう。

キャンプなら、それがすぐに叶う。泊まりで行くピクニックのようなものだからだ。



キャンプグッズは緊急事態宣言中も順調に売れた


第二次キャンプブームと言われてから、すでに5、6年の歳月が過ぎ去ろうとしている。第一次ブーム(90年代)の子どもが親になった、フェス文化から流入してきた、オシャレなギアが増えた、インスタグラムでママ層が興味を持った、アニメやユーチューバーの影響で若者にも火かついたなど、その要因は多いが、どこから入っても「自然のなかでのんびりしたい」というゴールは変わらない。

また、清潔なトイレやシャワールーム、充実の子ども向けフィールド、素敵なコテージを備えたキャンプ場なども登場しており、人気の施設は予約が取れないほど。絶好調のなか今年もキャンプシーズン幕開け、というときにコロナ騒動が起きた。

「キャンプグッズは、緊急事態宣言中でもECを中心に売り上げを伸ばしました。また、宣言解除後は、自分の目で新作を確かめたいというお客さんで実店舗も混雑しました」と語るのは、アウトドア専門のフリーランスPR兼コーディネーターのB.O.W代表・牛田浩一さんだ。

アウトドアスタイリストの近澤一雅さんも、「自宅でも使えるキャンプグッズがよく動いたと聞いています。ついにテントも売れ始めたようですから、完全に戻ってきたんでしょうね」と語る。

キャンプ気分でテレワークをしたい


キャンプが趣味という人にとっては「だろうな」という感想になるだろう。というのも、軽量性やコンパクト性など、機能面に優れたものがキャンプグッズには多く、ギア好きにはたまらない領域であるからだ。ガレージブランドと呼ばれる小規模のメーカーも増え、趣向を凝らしたデザイン性の高いものが市場に増え続けている。「これは便利かも」「これは映える」と、物欲を刺激されるものが次々と登場するので、財布の紐がゆるむのである。

また、この2、3年で「自宅でも使えるアウトドアギア」という提案を各社が推し進めてきた功績も大きい。テーブルや椅子、キッチンツールなど、機能性もデザイン性も高いキャンプ道具を日常的に使う。これが、テレワークで椅子やテーブルが必要になった人たちに、「キャンプ気分で仕事をしたい」「キャンプでも使えるし」という思いを抱かせた。時間に余裕が生まれたことで、買おうか迷っていた「不要不休急なギア」をついポチッてしまった人も多い。

キャンプに限らず、趣味というのは「来たるべき日を思い浮かべながら過ごす」というだけで気分が高揚するもの。買い物も大きなリフレッシュ方法なのである。

colemanバタフライテーブル
部屋のインテリアにもすっきりと馴染む、メラミン樹脂を基調としたダークトーンの天板。木目調なのでリラックスした雰囲気が生まれる。高さを70、60、44cmと3段階で調整することが可能。収納ケース付きでコンパクトになるのも魅力。「バタフライテーブル90」 17600円(税込)問い合わせ:コールマン ジャパン

ローバーチェア

かつてイギリス軍に採用されていた、ランドローバートラックの車載装備だった椅子が「ローバーチェア」。その堅牢性や使い勝手の良さ、座りやすさ、そしてデザインの良さで人気が高い。こちらはテントファクトリーがミドルハイの高さにリデザインしたモデル。「TFローバーチェアMH(オリーブグリーン)」 5800円(税別)問い合わせ:テントファクトリー
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文=富山 英三郎

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