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Photo by studioEAST/Getty Images

中国あるいは大中華圏に製品の組み立て拠点をもつ在米の技術者チームは、メッセージをやりとりするのに、中国のIT大手テンセントが運営する対話アプリ「WeChat(ウィーチャット、微信)」を使っていることが多い。よく知られた消費者向けエレクトロニクス製品を手がける米大手メーカーなどもそうだ。

できあがったばかりの試作品の不具合の対応などでは、やはり対面でのやりとりが中心だったが、新型コロナウイルス対策で導入された渡航制限で、現在はそれもしづらい状況にある。そのため、アジア全域でしっかり機能する数少ないリアルタイムコミュニケーションツールのひとつとして、ウィーチャットは技術者にとってますます頼みの綱になっている(米グーグルや米ズームのサービスは中国では利用できない)。

こうしたなか、ドナルド・トランプ米大統領は6日、米企業に対して、テンセントなどとの取引を45日以内にやめるよう命じた。これにともなってウィーチャットの利用自体も禁止されれば、今年のホリデーシーズン向けの新製品を開発しているチームにとって新たな障害となり、出荷がさらに遅れるおそれもある。

在米の技術者チームは、中国の生産ラインが稼働している時間に合うように勤務スケジュールを変更し、ウィーチャットや米アップルのビデオ通話アプリ「FaceTime(フェイスタイム)」などで連絡を取り合っている。こうしたやりとりをメールでするとなると、時間的なずれから数日かかってしまうこともある。

エレクトロニクス製品の開発は、不安定で非効率なのが実情だ。最新の、「つながった」スマートテクノロジーへの投資が不足しているためだ。また、開発チームは世界各地に散らばっているのに、データは現地でばらばらに保存されているという事情もある。

夜間8時間に及ぶ電話や、20人のチェーンメール、ウィーチャットの大人数のグループといった応急策がとられていることは、問題があることの証拠だろう。チームがいくつかに分散していると、何か問題があった場合、それぞれが自ら素早く解決するのに必要なデータを得にくい。これは、ハードウェアの新製品が成功を収めるうえで大きなリスクにもなる。

製造に関する問題を遠隔で解決するには、技術者が適切なデータに、適切な解像度で、常時アクセスできることが必要である。コロナ禍は、製造業の開発は技術者たちが直接会って行わなくてはならないのかという点を試すかたちになっている。一部の企業は、そうではないと判断している。

実際、最新の製造技術を導入済みのメーカーは、新製品の開発で時間のかかるそうした過程を短縮できている。こうした企業は今年の開発サイクルで競合他社に大きな差をつけており、おそらく来年に向けた新製品開発でも先行することになりそうだ。

編集=江戸伸禎

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