感染拡大の封じ込めに成功した国の一つとして称賛されてきた同国では、新規感染者が確認されるのは102日ぶり。オークランドでは12日正午から少なくとも3日間、「レベル3」のロックダウンが実施される。
新たに感染が確認されたのは、50代の男性。幼い子供を含めた家族3人の検査も行ったところ、全員に陽性反応が出たという。だが、一家には海外への渡航歴もなく、隔離中の人との接触もないことから、どのような経路で感染したかは今のところ不明。
アーダーン首相は行動制限の実施を発表した記者会見で、「私たちは(先を見越して)準備を整えてきた」と説明。政府は再び感染者が発生する事態に備え、計画を立ててきたと述べている。
オークランドでは「営業停止」
「レベル3」の制限措置により、オークランド市内の住民には不要不急の外出を控えることが求められる。また、レストランやバーなどの店舗、学校の大半が閉鎖されるほか、10人以上での集会が禁止される。この間に当局は、感染経路の追跡調査を進める。
一方、その他の地域では、「レベル2」のロックダウンが実施される。店舗の営業などは継続が認められるが、市民にはソーシャルディスタンスの確保が求められるほか、集会は100人までに制限される。
ニュージーランドは感染拡大を防ぐため、「go hard, and go early(厳格に、早期に)」を戦略として掲げ、感染者が少ないうちから国境を閉鎖するなどの厳しい制限措置を導入。100日以上にわたって国内での感染者の発生を防いできた。
6月には新規感染者の確認が17日間、市中感染の確認が40日間にわたってそれぞれ連続でゼロとなったことを受け、国境管理を除いたすべての制限措置を解除していた。
米ジョンズ・ホプキンス大学が12日までに発表しているデータによれば、パンデミックの発生以来、同国で確認された感染者は1570。うち死亡した人はわずか22人となっている。
「成功」した各国で感染が再拡大
感染拡大を抑え込むことに成功した後、再び感染者が出ているのはニュージーランドだけではない。99日間にわたり市中感染が確認されていなかったベトナム、感染拡大の抑制に成功していたオーストラリアや香港などでも、再び感染者が増加している。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は10日、「いくつの国ではソーシャルディスタンスの確保を求める措置を緩和した結果として、実際に感染者が再び増加している」との警告を発している。