日本への原爆投下は「正しかった」か? アメリカ人の歴史認識に変化の兆し

広島・長崎に原子爆弾が投下され、終戦を迎えてから75年の月日が経過した(Getty Images)

1945年8月15日に日本が終戦を迎えてから75年が経った。いま、アメリカでは原爆投下の「舞台裏」に迫る歴史ノンフィクションがベストセラーとなっている。

ジャーナリストでFOXニュースの番組キャスターも務めるクリス・ウォーレスが、AP通信のミッチ・ワイスと共同で執筆した『COUNTDOWN 1945』(Avid Reader Press / Simon & Schuster )だ。

タイトルからもわかるように、1945年4月12日にフランクリン・ルーズベルト大統領が死去して、副大統領だったトルーマンがその座に就くところから始まり、広島に最初の原爆が投下されるまでの116日間(米国時間では8月5日まで)が時系列に描かれている。

ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストのハードカバー・ノンフィクション部門では、6月28日に初登場で第2位にランクされると、その後も5週連続でトップ10入りを果たしている話題の書だ。

本書では、原爆投下に関係した人物たちの各々のドラマが、まるで小説でも読むかのように描かれている。カリフォルニア大学マーセド校のGregg Herken教授は、ワシントン・ポスト紙の書評で次のように述べている。

「ウォーレスとワイスは、テクノロジーや外交的なことに還元されてしまいがちな出来事を、個人の人生を通して物語ることで人間味あふれるものにしている。トルーマンはもちろん物語の主要人物であるが、広島に原爆を投下したB29戦闘機エノラ・ゲイのパイロットであるポール・ティベッツとその乗組員もそうである。また、日本に投下された兵器開発に関わったロバート・オッペンハイマーやドン・ホーニッグのようなロスアラモス科学研究所の科学者たちも紹介されている。〔……〕原爆が投下された日、広島にいた10歳の少女、タムラ・ヒデコの話はこの本の中で最も心を揺さぶられる。ヒデコは被爆を免れたが、母親のキミコはそうではなかった」
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文=渡邊雄介

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