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ファン・サポーターが待ち焦がれた公式戦の再開から1カ月あまり、Jリーグへ再び新型コロナウイルスの脅威が忍び寄っている。J1のサガン鳥栖で12日までに10人もの感染者が確認され、Jリーグ初のクラスター(集団感染)となったニュースは少なからず衝撃を与えた。

J3までを含めた全56クラブの選手やスタッフに対して、2週間ごとに実施しているJリーグの公式PCR検査だが、安心安全を担保する切り札だった施策が、感染が再拡大している現状にそぐわなくなっている。鳥栖のクラスターに先駆ける形で、8月最初の週末に繰り広げられた見えざる敵とのギリギリの戦いを振り返りながら、新たなる対策の方向性を探った。

万が一の事態を危惧してJリーグへ連絡


Jリーグで初めてとなるクラスターが発生した。練習後に倦怠感など体調不良を訴えたサガン鳥栖の金明輝監督が、佐賀県内の病院でPCR検査を受け、陽性判定が出たのが10日午後。濃厚接触者と判断された3人のスタッフを隔離した鳥栖は、11日、万全を期すために選手、スタッフら89人にも独自のPCR検査を実施。12日になって選手6人、スタッフ3人と計9人の陽性が確認され、同日に予定されていたサンフレッチェ広島とのYBCルヴァンカップ・グループステージ最終節が開始直前で中止となった。

金監督は発症日とされる8日、鹿島アントラーズ戦前の昼間に体調に「微妙な違和感」を覚え、翌9日には倦怠感と38度の発熱があった。しかし、10日朝には36.4度に下がっていたこともあり、クラブへ報告するには至らないと判断したようだ。咳や味覚嗅覚の異常などの症状もなく、感染経路は12日現在で判明していない。感染予防対策も徹底していただけに、いつでも、誰でも感染するリスクが身近に存在している現状が図らずも浮き彫りになった。

大都市圏を中心に全国的に再拡大している新型コロナウイルスの脅威は、実は8月最初の週末においてサッカー界にも大きな混乱を引き起こしていた。

1日の試合後にFC東京の長谷川健太監督が「やるべきではないと思う」と発言し、物議を醸した鳥栖戦。FC町田ゼルビアに陽性者が確認されながら、2日に予定通り実施された京都サンガF.C.戦。そして、アビスパ福岡に陽性が疑われる選手が出た影響で、同じく2日に開始直前で中止となった大宮アルディージャ戦。8月最初の週末にJリーグで起こった「緊急事態」は、すべて「線」で繋がっていた。

まずは今シーズン未勝利が続いていた鳥栖に2-3で敗れた後のFC東京長谷川監督のオンライン会見。ホームの味の素スタジアムで一敗地にまみれた長谷川監督は「情けない」と第一声を絞り出した直後に、それまで公にされていなかった事実を公表した。

「負けた言い訳にはならないと思いますが、選手たちをかばうのであれば、試合前、今日の午後になって、鳥栖の選手が発熱したという話を聞きました。その選手はメンバーに入りませんでしたが、濃厚接触者がいるのか、いないのかがわからない状況のなかで、今日の試合へ臨まなければいけなかった」

文=藤江直人

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