ビジネス

2020.08.12

スタートアップに追い風、コロナ禍による予想外の3つの変化


今起こりつつあるもう1つの変化は、多くの顧客を完全にオンラインで獲得できるようになってきていることです。コロナの前からそのように顧客を獲得できていた業界もありますが、大抵の業界はまだ対面での営業をある程度必要としていました。特に展示会は多くのB向けスタートアップにとって重要な顧客獲得の機会でした。しかし、オフラインのイベントが開催できなくなった今、デジタル化が遅れている企業でさえもオンラインへ移行しています。

コロナ以前は、決裁権のある役職者にオンラインミーティングを提案するのは失礼だという意見が多かったですが、今はむしろオンラインの方が常識です。これは、わざわざ東京から地方まで頻繁に出張して商品を販売していたような人にとっては特に重要な変化です。負い目なくリモートミーティングを行えるようになっただけではなく、東京から人が来ると感染リスクがあるからという理由で、場合によっては顧客の方も「来て欲しくない」と明確に言うことも増えました。

3つ目の変化は、オフィスが実は必要なかったかもしれないことに多くのスタートアップが気づき、オフィスを完全に手放すか、あるいは規模を縮小するなどの対応をとるようになったことです。これにより手元のキャッシュが増加し、事業の他の部分に使ったり、パンデミックを耐え抜くために必要なランウェイの補填に充てたりすることができるようになりました。

以前も記事で書いたように、このようなワークスタイルを長期間続けるのは、大半の企業にとってはあまり現実的ではないかもしれません。それでも、現在のトレンドとして一般的になりつつあることは明らかで、もはや珍しいものではなくなってきています。

新型コロナウイルスの脅威は依然として続いています。そして感染者数が日々増加している今の状況は、すでに第2波に突入していると言っていいでしょう。第1波のときは、とっさの対応で、スタートアップ・エコシステム全体が警戒態勢に入りました。しかし、今回は業界や社会全体への影響を前回よりも正確に把握できているので、逆境の中であっても、テック界にとって希望が持てる展開が期待できるかもしれません。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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