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2020.08.11

ゲイツ財団が160億円でワクチン開発支援、1回3ドル以下目指す

Michele Crowe/CBS via Getty Images

発展途上国における新型コロナウイルスの新規感染者数の増加が続く中で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は1億5000万ドル(約159億円)を、インドの世界的ワクチンメーカーSerum Institute of Indiaに寄付すると宣言した。この取り組みでは、1回あたり3ドル以下の費用で、1億回分のワクチンを貧しい国々に提供することを目指している。

新型コロナウイルスの感染拡大は発展途上国だけでなく、所得が中程度の国々でも続いており、ブラジルやインド、南アフリカ、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビアなどの諸国がそこに含まれる。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団はこれまで累計3億5000万ドルを、パンデミックとの戦いに向けて寄付し、ワクチンや治療法の開発を支援している。今回の1億5000万ドルは、発展途上国へのワクチンの供給を促進する世界同盟のGAVIアライアンスを通じて支払われる。

Serum Institute of Indiaはこの資金で、英国のアストラゼネカや米国のノバックスらが開発したワクチンの製造を進め、これらのワクチンが当局の承認を受け次第、提供を開始しようとしている。

GAVIアライアンスは、ワクチンの公平な普及のために立ち上げた仕組みのCOVAXファシリティを通じ、2021年末までに規制当局やWHOの事前承認を受けた20億回分のワクチンを届けようとしている。

「ワクチンや有効な治療法の提供に関しては、途上国や貧しい国々が置き去りにされるケースが多発している。我々はこの状況を変えようとしている」とGAVIアライアンス代表のSeth Berkley博士は声明で述べた。

ワクチンが裕福な国々だけに行き渡るとしたら、世界での感染拡大を食い止めることは難しい。発展途上国へのワクチンの供給を整備し、世界をパンデミックから救うことをGAVIアライアンスは目指している。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、世界では新型コロナウイルス向けの165のワクチンの開発が進んでおり、そのうち28が臨床試験の段階にある。研究者らは、2021年までに有効で安全なワクチンを開発しようとしている。

インドのSerum Institute of Indiaは、英国のアストラゼネカや米国のノバックスらと提携を結んでいる。アストラゼネカは20億回分のワクチンを世界に送り出すと述べており、そのうち10億回分を発展途上国に届けると宣言した。

ノバックスは米国連邦政府から16億ドルの資金提供を受けて臨床試験を進めており、8月4日には人間を被験者としたトライアルで前向きな結果が得られたと発表した。

編集=上田裕資

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