ハリウッドの映画プロデューサーRyan Kavanaugが出資するトリラーは、インド政府がTikTokを禁止してから数日間で、4000万ダウンロードを獲得して注目を集めた。米国がTikTok禁止に踏み切れば、トリラーの人気はさらに高まるかもしれない。
しかし、調査企業Apptopiaのアダム・ブラッカーは、「このカテゴリにはトリラー以外にもう有力なアプリが数多く存在する」と話す。
「仮にTikTokが米国で禁止された場合、トリラーやByte(バイト)、Dubsmash(ダブスマッシュ)などの類似アプリが勢力を伸ばすと考えている人は多い。しかし、実際のところこれらのアプリは、TikTokに匹敵するほどのユーザーベースを確立できていないのだ」
ブラッカーがTikTokの有力な競合としてあげるのが、「Likee」と呼ばれるアプリだ。Likeeの米国でのダウンロード数は、ここ数カ月で2倍に伸び、トリラーを上回っている。
ApptopiaによるとLikeeの過去6ヶ月間の米国でのダウンロード数は725万件に達し、トリラーの300万件の2倍以上に達していた。また、Dubsmashは約200万件、Byteは175万件だった。
ここで注目したいのは、Likeeもまた中国企業のアプリだという点だ。このアプリのリリース元はBIGO Technologyとされているが、運営元は米国のナスダック市場に上場する中国企業のJOYY(旧社名:YY)だ。JOYYはライブ動画プラットフォームのYYで知られる、バイトダンスの競合企業だ。
TikTokの世界でのダウンロード数は20億件を超え、過去数カ月のダウンロード数は4700万件以上に達したとされるが、アプリ市場の変化のスピードは非常に速く、仮に米国政府による禁止措置がとられないとしても、そのポジションは盤石とは言い難い。
しかし、仮に米国がTikTok を禁止した場合でも、それに代わり勢力を伸ばすのが中国企業のアプリなのだとしたら、米国政府は新たな対応を検討すべきなのかもしれない。中国のテクノロジー企業は、様々なカテゴリで米国市場に進出しているが、米国のテック企業は中国での自由な活動を許されていない。