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2020.08.13

自宅をジムに変えるスタートアップTempoが63億円調達で成長加速

Anon Krudsumlit / EyeEm / GettyImages

自宅でのワークアウトを支援する、家庭用フィットネスデバイスのスタートアップ「Tempo」が、シリーズBラウンドで6000万ドル(約63億円)を調達したことを7月29日にアナウンスした。

フォーブスの30アンダー30の受賞歴を持つMoawia EldeebとJosh Augustinらが創業したTempoの今回の資金調達は、Norwest Venture PartnersとGeneral Catalystが主導し、既存出資元のDCMやBling Capital、SignalFire、Founders Fundに加えYコンビネータも参加した。

同社はTempo Studioと呼ばれる家庭用のフィットネスシステムを提供しており、顧客はタッチスクリーン式のディスプレイで講師の授業をストリーミングで視聴しつつ、3Dセンサーで体の動きのデータを記録しながらワークアウトを行える。

「アプリベースのフィットネス系サービスは、連携できるデバイスが不足している。一方で、ネットに接続可能なフィットネス系のデバイスは価格が高い割に、動画の再生しか出来ないことが多い」と、Tempoの共同創業者でCEOのEldeebは話す。

「当社のTempo Studioは、デバイスとAIシステムをパッケージで提供し、プロのトレーナーのパーソナライズされたレッスンを、自宅で受けられる」

Tempoは新型コロナウイルスのパンデミックを追い風に、巨額の資金調達を実施した企業の一社にあげられる。先日は、フィットネス業界大手の4 Hour Fitnessが破産申請を行ったが、同社はパンデミックによって壊滅的なダメージを受けたと述べていた。また、世界的に有名なゴールドジムも、5月に破産を申請していた。

一方で、ホームフィットネス分野は好況に沸いており、ヨガ関連のアパレル企業「Lululemon」は、フィットネス系のスタートアップ「Mirror」を5億ドルで買収した。また、既に上場済みのフィットネスマシンのスタートアップ「Peloton」の株価も今年3月以降に急騰している。

Tempoは今年2月にプレオーダーの受付を開始したが、その後の売上は500%近い伸びとなり、2020年の売上は1億ドルに達する見通しだ。同社はTempo Studioを1995ドルで販売し、AIを活用したフィットネス講座を月額39ドルのサブスクリプションで提供している。

General CatalystでTempoへの出資を担当したHolly Maloneyは、同社の未来を確信している。「Tempoが提供するデータやAIを活用した、パーソナライズされた家庭用フィットネスのソリューションは、他の企業と明確な差別化を果たしている」
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編集=上田裕資

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