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2020.08.13

休暇は本当に必要か? 生産性との関係から考える

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お盆休み真っ最中、そして、9月にはシルバーウィークという大型連休が控える今、毎年当たり前のように与えられてきたこの期間を、今年はどう過ごそうかと考えている人も多いだろう。

各社で在宅ワークが推奨されてから約半年が経ち、「ONとOFF」の境目が曖昧になってきた中、どのような休み方が、日々を忙しく過ごすビジネスパーソンにとって正解なのか。

2011年にNPO法人ミラツクを設立、現在は、大阪大学社会ソリューションイニシアチブで特任准教授としても未来社会構想の探索に取り組む西村勇哉氏に、これからのあるべき「休暇」の形を聞いた。



平日がとにかく忙しい日本人


これまでミラツクでは、ワコールと自分の内面の美しさを磨く学びの空間「ワコールスタディホール京都」の立ち上げに加わったり、パナソニックで感性を豊かにするロボティクスのラボ「パナソニックaug lab」の立ち上げに加わったりしてきました。

最近では、JAXAと一緒に宇宙船という閉鎖的な環境でも快適に過ごすことのできる生活空間づくりを目指す企業共創プラットフォーム、「THINK SPACE LIFE」プロジェクトに加わるなど、年間20社くらいの方々と様々な取り組みを行なってきました。

多くの企業と協働していく中で、日々の仕事や生活の空間を、より快適にすることが求められる時代になってきているように感じています。

世界的に見ても、20世紀を通じて労働時間というものは減少してきました。日本のデータを見ると、この数十年間、確かに総労働時間自体は減っています。ただ同時に、平日の余暇時間も減っている状況があります。そして、働く人の睡眠時間もどんどん減っている。

総労働時間という観点では、確かにこの数十年で減ったのもしれませんが、「とにかく平日がすごく忙しくて、睡眠時間が物足りない」というのが、現代の日本人が感じているところではないでしょうか。

休暇と生産性の密な関係


平日の忙しさに対して日常生活を快適に過ごすことも重要ですが、休暇を上手に取り入れることも大切です。というのも、休暇と生産性には、強い関わりがあるからです。

生産性とは、ざっくり言うと同じインプットに対して生まれるアウトプットの量と質を指します。

例えば、同じ時間を使って、より多く、より質の高いアウトプットを出せると生産性が上がっていると言えます。つまり、インプットをする時間を変えずに、より多くのアウトプットを生むことができれば、生産性は上がるということになります。

そこで、アウトプットに必要とされる想像力や着想力に目を向けると、それらは、知識の幅と量が鍵となって上下すると言えます。新たな知識を得ずに目の前の現実だけを見つめていても、ただ現実の延長上にある発想しか生まれません。

発想力というものは、誰もが持ち合わせている力です。その到達点となるアイデアが違うとしたら、それは単に発想の出発点となる知識が違う、というだけです。

発想の出発点が変わればより良い発想が生まれます。それは、結果的により多くのもしくは質の高いアウトプットを生み出すことに寄与し、生産性が上がることが期待できます。

発想はスタート地点となる知識によって変わってきます。だからこそ、一見無関係な情報をたくさん手に入れることが、生産性を高めることに繋がるのです。
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構成=守屋美佳

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