ビジネス

2020.08.13

休暇は本当に必要か? 生産性との関係から考える

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脳が疲れているときほど、思考はゆるみ、本能的な行動へとシフトしていきます。脳が疲れれば疲れるほどより目の前の情報、いつも通りの情報に目が向いていく。

本当はそのサイクルから抜け出すために、新しい知識を手に入れて、生産性を上げる必要があるのに、脳がどうしても許してくれない。

この悪循環から抜け出すために、バシッと長期休暇を取ったり、もしくは週末だけでもスマホなどの情報機器から距離を置いたり、脳を休ませる工夫をすることが本当は必要なんだと思います。

休暇によって、脳も復調し、新しい情報を取り込むスペースが生まれ、これまで学んでこなかったような情報が入ってきます。

ONとOFFと、もう1つ別のONが必要


休暇とは、仕事を止めることではなく、いずれやってくる未来の仕事も含めて次の仕事のために準備をする行為だと捉えられます。

つまり、「ONとOFF」で分けるのではなく、「ONとOFFともう1つ別のONがある」。もう1つのONは、未来のための時間です。

仕事に力を入れる従来のONの他に、目の前の仕事をとにかくやっつけることとは異なる、そもそも自分は何をすべきか、未来や社会、関心事に対して自分は何ができるかを考えるための第二のONが必要です。

それがないと、とにかく同じ方向性を走り続けることになってしまいます。同じ方向に進むことが正解であればいいけど、それが正解なのかを考え直す時間が無いのは怖い。

もちろん、ただ休み続ければ何か素晴らしいアイデアが生まれるかというと、そんなこともありません。

ケヴィン・キャッシュマンの「優れたリーダーは、なぜ立ち止まるのか(英治出版)」では、常日頃ONで動いている人が休むことで、過剰活動から抜け出し、革新的になっていくことが示唆されています。

がんばりやりきるONと、整え準備をするONの2つのONを切り替えながら両立して持つことが、社会と人生を豊かにしてくれるのではないでしょうか。



西村勇哉◎大阪大学大学院にて人間科学(Human Science)の修士を取得。人材開発ベンチャー企業、公益財団法人日本生産性本部を経て、2008年より開始したダイアログBARの活動を前身に、2011年にNPO法人ミラツクを設立。セクター、職種、領域を超えたイノベーションプラットフォームの構築と、年間30社程度の大手企業の事業創出支援、研究開発プロジェクト立ち上げの支援、未来構想の設計、未来潮流の探索などに取り組む。国立研究開発法人理化学研究所未来戦略室 イノベーションデザイナー、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ特任准教授

構成=守屋美佳

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