8月4日、フロリダ洲の裁判所に提出された訴状によると、バハマ・パラダイスクルーズラインで働く労働者たちは、会社から給料が支払われておらず、船から出ることも不可能で「事実上、人質にとられている」と訴えた。
訴状によると、バハマ・パラダイスクルーズラインが運航する2隻の船の乗組員らは、数カ月以上も海の上で暮らしているという。3月14日に米国疾病予防管理センター(CDC)が運航禁止令(No Sail Order)を出した後、船の乗組員らはある書類に署名するよう求められた。
書面には、彼らが自分の意志で船にとどまるという文言や、政府が運航禁止令を解除するまでの期間は、給料を受け取らないと宣誓する文章が記載されていた。フロリダ州本拠のバハマ・パラダイスクルーズラインは既に、全乗組員との契約を解除し、2隻の船のうち1隻に、彼らを移したという。訴状によると、乗組員にはマスクなどの装備が与えられておらず、ソーシャルディスタンスも確保できていないという。
乗組員らは2カ月分の給料の支払いと、船から立ち去るための支援を求めている。船に残された人数は不明だが、1000人を超えている可能性が高いという。バハマ・パラダイスクルーズラインは、フォーブスのコメント要請に応えていない。
「クルーたちは数カ月もの間、船に取り残されており、その多くは家族たちから数千マイルも離れた場所に閉じ込められている」と、訴状には書かれている。
地元紙のマイアミ・ヘラルドによると、5月時点で10万人以上のクルーズ船の乗組員が、海に置き去りにされ、今もなお数千人が給料を得られないまま船に閉じ込められているという。
クルーズ船業界は、パンデミックによって最も甚大なダメージを被った分野の1つにあげられる。この分野の上場企業としては、カーニバルやロイヤル・カリビアン・クルーズライン、ノルウェー・クルーズラインなどがあるが、全ての企業が株価を急落させた。バハマ・パラダイスクルーズラインは比較的小規模な企業で、保有する船は2隻のみという。