イタリア随一の職人技と新鮮なデザインで自分仕様の一足に

最高峰に位置するコレクションの「トラメッザ」。美しい仕立てとデザインは折り紙付き。製作期間は通常4カ月

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は7月号(5月25日発売)より、「サルヴァトーレ フェラガモ」のメンズシューズをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):どうですか、この靴。サルヴァトーレ フェラガモです。女性たちには圧倒的な人気を誇るブランドですが、男性用でもこんなにも美しい靴をつくっています。

小暮昌弘(以下、小暮):おっ、懐かしい!

森岡:もしかしたら、また取材したことがあるのではないですか?

小暮:実はそうなのです。10数年前ですか、フィレンツェに行き、スピーニ・フェローニ宮殿の本社で取材を。職人が靴を縫う様子や工場取材もしました。サルヴァトーレ・フェラガモ本人が履いたメンズシューズも撮影させてもらいましたよ。

森岡:やっぱり!

小暮:取材中、とても興味深いことを教わりました。森岡さん、靴を買うのはいつがいいと思いますか。

森岡:「夕方がいい」と先輩から教わりました。一日中、靴を履いていると足は膨張してしまうので、靴は夕方に買ったほうが足に合うと聞き、ずっとそう書いてきました。

小暮:私もそうでした。だからサルヴァトーレ フェラガモの本店でフィッターからいつと尋ねられたときにも自信満々に答えたのです。

森岡:もしかして、それが間違いだと。

小暮:フィッターが言うには、それだと夕方になるまでブカブカの靴を履かなければいけなくなる。「靴は朝に買うべき。本当にいい靴は時間とともに足が膨らんでも、それに合わせて革が自然に伸びるもの」と教えられました。

森岡:さすが靴でスタートしたブランドです。

小暮:『夢の靴職人 フェラガモ自伝』(堀江瑠璃子訳 文藝春秋刊)にも靴というものは、履いた瞬間から快適でなければならない」と書かれています。また完全に合う靴を見つけるためには、店の外まで歩いてみる。ほしい靴が見つかるまで、時間をかけてじっくり探すこととも書かれています。

森岡:ついついデザインだけで選んでしまいますからね、服も靴も(笑)。

小暮:私もフィッティングをしてもらったのですが、最初少しキツく感じたのです。が、シューレースとインソールを調節してもらうとすぐに快適に。さすが「走れるハイヒール」をつくれる老舗だけのことはあると。そのとき買ったのが今回の「トラメッザ」でした。
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photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure | fashion direction by Hiroshi Morioka | edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 7月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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