森岡:「トラメッザ」は伝統手法で製造されるこのブランドのなかでも最高峰のコレクション。その「トラメッザ」のメイド トゥ オーダー(=注文靴)が再開する*のです。
*コロナウイルス感染拡大をうけ、イタリアの工場が未稼働につき、再開時期は未定。
小暮:もともとはハリウッドで映画スターのためにオーダーで靴を仕立てていたブランドですからね、再開は至極当然のこと。既製品でもフィットのよい靴をつくれるのですから、オーダーならなおさらのことでしょう。デザインでも何か特徴があるのですか?
森岡:イタリア随一の職人技とクラシックに縛られない新鮮なデザインが自分仕様で楽しめます。革は2種類まで、カラーは3色までセレクトして配置でき、ソールの色や素材、金具も選ぶことができます。
小暮:このソールに入ったステッチは私の「トラメッザ」と同じです。イタリアの職人技を感じますね。ソールの立体的な形状は英国のビスポークシューズのようです。
森岡:パーソナルサービスとして、ソールのシャンクの上に頭文字などのレターを入れたり、ヒールにも同じようなものを入れることができるそうです。また靴の内側とシューズボックスには名前も入れられます。
小暮:それは珍しい取り組み、いいですね。
森岡:シューズボックスも大事にする小暮さんには耳寄りな話でしょう(笑)。
ソールのシャンク付近にレターを入れることができるが、レターは細い釘。まさに職人技だ
小暮:私、このブランドは、ブランド全体のクリエイティブ ディレクターであるポール・アンドリューが指揮をとるメンズウエアも最近、気になっています。
森岡:彼のコレクションはクラシックなうえに、時代感をもった服をつくりますからね。
小暮:そうなのです。これからは靴そのものも変わっていくかもしれないですね。メイド トゥ オーダーの靴で素材を自由に選べることもそんな兆しかもしれませんね。
森岡 弘◎『メンズクラブ』にてファッションエディターの修業を積んだ後、1996年に独立。株式会社グローブを設立し、広告、雑誌、タレント、文化人、政治家、実業家などのスタイリングを行う。ファッションを中心に活躍の場を広げ、現在に至る。
小暮昌弘◎1957年生まれ。埼玉県出身。法政大学卒業。82年、株式会社婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。83年から『メンズクラブ』編集部へ。2006年から07年まで『メンズクラブ』編集長。09年よりフリーランスの編集者に。