採用基準の設計と運用|選考の質を高め、社員の定着率を向上させる

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採用基準に関する注意事項


最後に、採用基準を設けるにあたり、NGとなる項目について確認しておこう。

厚生労働省は、不正な採用選考の防止のため、企業が選考フロー(エントリーシートや面接など)において、以下1〜14の項目を求職者に尋ねることを、就職差別と見なしている。

【本人に責任のない事項の把握】
1. 「本籍・出生地」に関すること
2. 「家族」に関すること(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
3. 「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
4. 「生活環境・家庭環境など」に関すること

【本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握】
5. 「宗教」に関すること
6. 「支持政党」に関すること
7. 「人生観・生活信条など」に関すること
8. 「尊敬する人物」に関すること
9. 「思想」に関すること
10. 「労働組合・学生運動など社会運動」に関すること
11. 「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること

【採用選考の方法】
12. 「身元調査など」の実施
13. 「全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)」の使用
14. 「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断」の実施

※参考:厚生労働省|公正な採用をめざして(平成31年度版)

近年では働き方改革の後押しもあり、女性や高齢者、外国人の雇用にも拍車がかかっている。採用側にとっては何気ない疑問が、相手のプライバシーに踏み入る言動とならぬよう、採用の際は念頭に置いておきたい。

まとめ


求める人材を確実に獲得するためには、明確な採用基準の設定と、採用にかかわる全ての社員がその基準を理解していることが必要不可欠である。

どんな人材に入社してもらいたいか、その考え方や行動を判断できるコンピテンシーを社内でヒアリングして具体的にリスト化し、それに合致したエピソードを持っている優秀な人材を探していこう。

なお、自社にとって必要な人材は、外部環境の変化や部門によって絶えず変化する。一度決めた採用基準に固執しすぎず、自社の事業フェーズに合わせて適宜見直すPDCAサイクルも忘れてはならない。



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文=小野祐紀

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