採用基準の設計と運用|選考の質を高め、社員の定着率を向上させる

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新卒・中途の例から見る、「良い人材」の定義


企業にとって、どんな人が「良い人材」なのだろうか。まずは一般的に企業が求める基準について、新卒と中途の観点から考えてみたい。

新卒採用で重視する採用基準


新卒採用の場合は、仕事で今すぐに使える技術や能力よりも、一緒に働く上での「人間としての魅力」が重要視される傾向がある。

日本経済団体連合会による「2018年度新卒採用に関するアンケート調査」(同会企業会員1376社が対象)では、「選考にあたって特に重視した点」という項目において「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」が上位3位を占める結果となった。

ここからわかることは、仕事ですぐに発揮できるスキルには、あまり大きな期待はされていないということだ。むしろ「人間関係の築き方」や「仕事への向き合い方」といった資質が採用基準となっているように思える。

中途採用で重視する採用基準


中途採用の場合は、前任者の離職にともなう補填や、新規事業を立てる際に募集がかかるケースが多いことから、会社にとっての即戦力となれる人材によりフォーカスされる。

エン・ジャパンが行った「2017年ミドル人材の採用実態調査」(n=537社)では、「直近3年以内に採用した35〜55歳までの中途求職者に求めるものは何か」という問いに対し、「即戦力」(59%)、「自社にない能力・経験」(48%)、そして「マネジメント力」(36%)が上位3つを占めた。

当然の結果と言えるかもしれないが、新卒採用では重要視されていたコミュニケーションスキルよりも、業務スキル(職歴・これまでの経歴)がより注視されてることが伺える。

ここでは新卒・中途の対比をしたが、例えば同じ中途採用でもマネージャー・非マネージャーや、職種(採用部門)、雇用形態などで基本となる採用スタンスが異なり、それによって採用基準の前提条件も変わることも覚えておこう。

新卒・中途それぞれの 良い人材 の定義。採用スタンスにより、基準などが変化する
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文=小野祐紀

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