そして2人は「工場で家を作ればもっと安い費用で、質の高い家が作れるのではないか」と考えた。Rivas とJosephは2014年に「Cover」と呼ばれるスタートアップを創業し、小さなスタジオ型の家の設計から製造までを手掛けるようになった。
フォーブスの30アンダー30の製造部門に選出された2人は7月28日、シリーズAラウンドで1000万ドル(約10億円)の資金調達を実施したことをアナウンスした。
今回のラウンドはFounders FundとLennar Corporationが主導し、新規の出資元としてValor Equity Partnersが加わった。さらに、既存出資元のGeneral Catalystや Fifty Years、Khosla Venturesも出資を行った。
Coverに住宅の製造を頼みたい顧客はまず、公式サイトで住所を入力し、250ドルの申し込み金を支払った後に簡単な質問に回答する。必要なベッドルームの数や、家の使用用途(居住用かオフィス用かなど)を告げると、アルゴリズムが作成した3つのデザイン案が提示される。
好みのデザインが見つかれば、2万ドルのデポジットを支払い、細部の微調整を開始する。その後、ロサンゼルスにあるCoverの工場でパーツの製造が完了すると、トラックで現地まで運搬され、組み立て作業が始まるという流れだ。
「例えるならば、巨大なレゴブロックのようなスタイルで家を製造する。Coverはこのやり方で様々な住宅を建設していく」とRivasは話す。
家の価格はサイズによって変動し、裏庭に設置するスタジオタイプの家なら8万ドル程度で、2ベッドルームと2バスルームを備えた物件であれば35万ドル程度になる。これまでの注文の平均的なサイズは、600スクエアフィート(約56平方メートル)程度の家で、価格は約23万ドルという。
Coverは現在、ロサンゼルス限定でオペレーションを行っている。
同社のシリーズAを主導したFounders FundのDelian Asparouhovは、若き創業者2人が立ち上げたCoverが今後、テスラと同じプロセスで成長していくと話す。
「彼らが現在作っている家は、テスラのロードスターに相当し、ハイエンド市場を狙っている。集まってくるのはテクノロジー好きのアーリーアダプターたちだ。私の考えでは、彼等は出来るだけ早期に、モデル3を開発するべきだと思う」とAsparouhovは話した。
彼の話では、Coverと同じレベルで家の製造を工場で行う企業は存在しないという。
「ヘンリー・フォードは自動車の製造ラインを発明し、それによって車の価格が誰もが入手可能な水準に引き下げられた。しかし、家の製造ラインを発明した企業は他に存在しない。Coverはこの分野のパイオニアだ」と彼は続けた。
2017年にステルスモードを脱したCoverは、シードラウンドで170万ドルを調達し、現在30人を雇用している。