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ハリウッドの映画スタジオは、中国政府の機嫌を損ねないように自ら検閲を行っているとのレポートを米国のNPO団体が発表した。中国での映画の興行収入は、間もなく米国を上回ると予想されており、このトレンドは今後も続いていきそうだ。

自由な表現を擁護する米国の非営利組織PEN Americaは8月5日、米国の映画スタジオの多くが、中国で上映権を獲得するために映画の内容に修正を加えていると指摘した。

2019年の中国での映画興行収入が約95億ドル(約1兆円)に達した一方で、米国の映画興行収入は前年から4%マイナスの115億ドルだった。

PEN Americaによると、米国の映画スタジオは中国での人権の抑圧や、議論を呼ぶチベットや台湾関連の問題に向き合うことを避けているという。

その一例としてあげられたのが、マーベル・スタジオ製作の2016年公開の映画「ドクター・ストレンジ」の件だ。この作品の原作コミックには、チベット系武道の老師が登場するが、映画では白人女優が演じるキャラクターに置き換えられており、「映画資本によるチベット弾圧」という批判を浴びた。

しかし、マーベルの親会社であるディズニーは、この問題に関して口を閉ざし、チベット問題に言及することを避けていた。

さらに、間もなく公開が予定されている「トップガン」の続編では、トム・クルーズ演じる主人公のジャケットから日の丸と台湾の旗が消えたことが物議を醸した。1986年のオリジナルでは、革ジャンに日本と台湾の国旗が貼られていたが、新作ではそれが消されたのだ。製作元のパラマウントは中国政府に忖度して、この措置をとったと批判されている。

映画会社はPEN Americaのコメント要請に応じていないが、匿名のハリウッドのプロデューサーは「映画業界の関係者は、中国政府の目の敵にされることを恐れている」と話している。

「世界の映画業界をリードするハリウッドが、外国の政府の検閲に立ち向かわないのであれば、他のどの国の関係者もリスクをとらなくなる」とPEN Americaは述べている。

米国司法長官のウィリアム・バーは今年7月、ディズニーなどの企業が日常的に中国当局による映画の検閲を受け入れ、中国共産党にこびへつらうスタンスをとっていると批判した。

ディズニーは8月4日、新型コロナウイルスの影響で映画館の営業再開が危ぶまれる中で、映画「ムーラン」の米国での劇場公開を中止し、動画ストリーミングサイトDisney+で配信すると発表した。しかし、中国などのDisney+が利用できない国においては、「ムーラン」は映画館で公開される。

編集=上田裕資

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