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2020.09.10

まずは名バイプレーヤーたれ。カリスマ経営者の影に「畳み人」あり

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「あなたは本当にやりたいことができているだろうか?」そう質問されたら、どう答えるだろうか。

「やりたい仕事ができるようになるための最良のルートは、『畳み人』のスキル(=畳む技術)を身につけることだ」。そう語るのは、幻冬舎編集本部コンテンツビジネス局局次長の設楽悠介氏だ。設楽氏は、幻冬舎のブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済(New economy)」の編集長として、またその他関連企業複数社の取締役として活躍している。

設楽氏によれば、人間は2種類に分けられる。とくに仕事においては次の2つの人種しかいない。「風呂敷を広げる人」と「風呂敷を畳む人」である。前者は壮大なアイデアをぶちかます天才肌、後者はそのアイデアを実務に移せる有能な実務派だ。さらに、畳み人として評価を得てくると、次第に「広げなさい」といわれる機会も増えてくる。そして畳み人こそ、最強の「広げ人」になれるという。

そんな設楽氏の著書『「畳み人」という選択 「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書』では、これまで幻冬舎のカリスマ社長・見城徹氏や、メディアで話題の編集者・箕輪厚介氏が次々に立てる突飛なプランを影ながら実行に移してきた自身の「畳む技術」のノウハウが、惜しげもなく詰め込まれている。今回はその中から特別に、一部抜粋して紹介する。


リスクの芽を事前に摘み取れ


畳み人に必要な気質があるとしたら、「リスクに敏感であること」です。心配性ぐらいがちょうどいいです。

小さなものから大きなものまで、リスク全体を把握するのが畳み人の役割です。前章で書いたように、広げ人に対しては最大のリスクだけを伝えますが、畳み人は起こりうる全てのリスクをできるだけ細かく把握しておく必要があります。もちろん、どれだけアンテナを張っていても、プロジェクトを進めていけば、リスクの芽がどんどん出てきます。そのため、十分な準備をしておいて損することはありません。プロジェクトを動かす際にチームメンバーとコミュニケーションを重ねて、あらゆる「もしかすると」を想定しましょう。

トラブルの原因になりやすいことは、大きく分けて2つあります。

一つは、コミュニケーションに関することです。折に触れてコミュニケーションを取り、作業に誤解や間違いが生まれていないかを確認しましょう。ただコミュニケーションから起こるトラブルを、当事者でない人間が見つけるのは至難の業です。多くはメンバーの業務報告の内容から類推するしかありません。

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ポイントは、〝ちょっとした違和感”を重視することです。メンバーから報告を受けた時に「報告の一部が少し曖昧だったな」「双方の言っていることがちょっと違うな」などと少しでも思ったら、入念にヒアリングをしましょう。

コミュニケーションロスはちょっとしたボタンのかけ違いから発生します。現場で働く者同士では気付きづらいこともあります。だからこそ、畳み人の出番です。全体を俯瞰して「ちょっとした違和感」はないかを探り、コミュニケーションのズレを察知しましょう。そして、そこからリスクの要因となりそうなものを事前に摘み取ります。

もう一つは、ヒューマンエラー、いわゆる「ケアレスミス」です。完全に防ぐことは難しくても、起こりにくい仕組みを作っておくことは可能です。チェック機能やバックアップ、もしくは代替するような仕組みを考えておきましょう。
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文=設楽悠介

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