ビジネス

2020.08.31

仕事で重宝されるのは、風呂敷を広げる人の隣で「畳む」人だった

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「お前の意見なんか聞いていない」 広げ人の一言


僕は20代後半から会社でウェブビジネスや新規事業の仕事をしていたので、その頃からよく上司や同僚からアイデアの相談を受けていました。でも自分はウェブに詳しいという自負もあり、はじめのころは素直に「一緒に面白がる」ことができませんでした。それどころか、あたかも評論家気取りで広げ人のアイデアを否定することも多くありました。

ある時先輩から「ちょっと意見を聞きたいんだけど」と、プロジェクトの相談を受けたことがあります。

それに対して僕は偉そうに辛口で批評し、「辞めたほうがいいですよ」と言いました。するとその先輩は顔を真っ赤にして「お前の意見なんか聞いていない。この部署を任されている俺がやりたいからやるんだ!」と怒鳴ったのです。

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先輩のほうから意見を聞きたいと言ってきたのに「お前の意見なんか聞いてない」と怒鳴るなんてめちゃくちゃだなと、当時は僕も苛立っていました。でもそういった経験を何度かくり返して気付いたのです。僕を怒鳴った先輩の言葉が本音のケースもあるんだなと。

つまり相談してきた先輩は、本当は意見を聞きたいわけではなく、どちらかと言えば共感してほしかったのです。「いいですね!」と背中を押してほしかっただけなのです。

それに気付いて以来、僕は広げ人から相談や意見を求められた時は、まず、できるだけそのアイデアの本質を見て共感したり、完全に共感はできなくても面白そうなポイントを探ったり、一緒に面白がったりするようになりました。そうすると、広げ人とのコミュニケーションに変化が生まれ始めたのです。

広げ人からアイデアを聞いたら、まず面白がる。それが、広げ人がアイデアを広げた瞬間に、畳み人が真っ先に取るべき行動なのです。

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設楽悠介◎幻冬舎のブロックチェーン専門メディア「あたらしい経済(New economy)」を創刊。同社コンテンツビジネス局で新規事業や電子書籍事業、コンテンツマーケティング事業を担当。幻冬舎コミックス、エクソダス等の取締役も兼務。また複数企業の社外アドバイザーも務める。個人活動としてVoicyでビジネス系音声番組「風呂敷畳み人ラジオ」や、カルチャー系Podcast/YouTube番組「#欲望のSNS」等の数々のコンテンツの発信やコミュニティを運営。イベント登壇やメディア出演も多数。著書にビジネスを着実に実行に移すスキルを紹介した『「畳み人」という選択「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書』(プレジデント社)。

文=設楽悠介

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