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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

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大都市は過去数十年の間、集積効果により成長を続けてきた。起業家の梁建章(ジェームズ・リアン)は数年前の著書『The Demographics of Innovation(イノベーションの人口集団)』で、都市は成長するにつれ多くのメリットを享受するようになると指摘した。

梁は、人口構成がイノベーションで大きな役割を担っているとし、その主な3つの理由を次のように説明している。

・規模の要素

「規模の経済」はビジネスではよく知られているが、梁はイノベーションにとっても非常に重要だと説明している。人口が多い国は研究者などの数も多い上、新興イノベーターが商品やサービスを販売できる国内市場が大きい。

・集積の要素

これは、ここ数十年でみられたシリコンバレーなどのイノベーションハブの出現でも起きたことだ。梁は、たとえ人口が多くとも、一カ所に集中していなければ効果がないと指摘している。都市やハブは一つの場所に人材やリソースが集中していることがメリットとなる。

・年齢の要素

人口の年齢も重要だ。梁は、歴史に残る偉大な発明の72%は30~40代の発明家によるものだと指摘している。この年代は、教育を受ける時間を持ちつつも、既存のやり方にどっぷりとつかることなく、他のやり方を考えることができる。

こうした3つの要素により、都市は「自己成就する予言」となり、多くの人が移住すればするほどより大きな成功を収められるようになった。しかし英経済誌エコノミストによれば、その魔法は消え始めているという。同誌は、世界の大都市が新型ウイルスによる死者の集中、そして大きな収入源となっていた海外からの訪問者の減少という2つの側面からパンデミックに大きく苦しめられていると指摘した。

輝きを失う大都市


パンデミックの影響を最も身に染みて感じているのは、これまで大都市に引き寄せられてきた若者たちだ。若者は真っ先に仕事を失い、失業率は45歳の平均の倍以上だ。名目上はまだ雇用されていても、無給休暇の状態にある人も多い。

もちろん、パンデミックで多くの雇用が失われた一方で、新たに創出された雇用もある。それでも、ここ数カ月で多くの人のキャリア計画が水の泡となったことはほぼ間違いない。

編集=遠藤宗生

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