ビヨンセも支持表明 黒人経営のアフリカン・ブランドに注目

「グローバル・シチズン・フェスティバル」に出演したビヨンセ (2018年12月2日撮影、 Getty Images)


「ブラック・パレード」は、アフリカの多様な国々を代表した「汎アフリカン」なリストとは言い切れないものの、ビジネス規模や認知度という意味においては、多様なアフリカン・ブランドを同等に掲載している。

その中で、キャリアと認知度で際立っているのは、英国生まれのガーナ人、オズワルド・ボーテング(Ozwald Boateng)だ。名門高級紳士服店が集中するロンドンのサヴィル・ロウに自らのブランド旗艦店を構えるほか、「ジバンシィ」のメンズウェア部門のクリエイティブ・ディレクターを努めた経験も持つ。

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(インスタグラム @ozwald_boateng より)

アフリカを拠点に展開するベテランブランドでは、ナイジェリア人デザイナー、フォラケ・コーカー(Folake Coker)が手がける「ティファニー・アンバー」も掲載されている。アフリカの多くの国では、生地を購入して仕立屋に依頼するテイラーメイドの文化が根強いが、コーカー“既製服ブランド”として展開し、一昨年20周年を迎えた。

南アフリカ人のデイヴィッド・トィラレ(David Tlale)も、同名ブランドを2003年に立ち上げた黒人デザイナーの先駆者と言える。彼の元でインターンを経験する現地の若手デザイナーも少なくない。


ナオミ・キャンベルと並ぶ、デザイナーのフォラケ・コーカー(左、インスタグラム @tiffanyamberng より)

注目のアップカミングブランド


世界的に頭角を現しているブランドもリストに挙がる。例えば、南アフリカのテベ・マググ(Thebe Magugu)は、ラグジュアリーグループLVMHが若手クリエイターの育成・支援を目的に実施するLVMHプライズで2019年に優勝。その後、パリのファッションウィークでもコレクションを展開し、国内外で注目を浴びている。

同年のLVMHプライズでは、ナイジェリア人のケネス・イゼ(Kenneth Ize)が、翌2020年には南アフリカのシンディソ・クマロ(Sindiso Khumalo)がファイナリストの一人として選出されるなど、ファッション界におけるアフリカン・ファッションの存在感が高まっている。

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自身のコレクションを着用するデザイナーのテベ・マググ (インスタグラム @thebemagugu より)

今後が期待されるブランドとしては、昨年のハイネケン・ラゴス・ファッション・ウィークにおける若手デザイナー発掘プログラムでファイナリストに選ばれた以下のデザイナーらが紹介されている(左から、デザイナー名、ブランド名、国)。

・モイス・トゥラヒルワ(Moise Turahirwa) 「Moshions」 ルワンダ
・カディアッタ・ディアロ(Kadiatta Diallo) 「NIUKU」 モーリタニア 
・デイヴィッド・ドゥドゥー(David Dodoo) 「Chiip O Neal」 ガーナ
・タジュ・イブラヒム(Taju Ibrahim) 「TJWHO」 ナイジェリア 

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(インスタグラム @moshions より)

筆者は昨年同イベントのためにラゴスに渡航し、審査パネリストの1人として選考会に参加したが、アフリカ大陸内でも特に際立つナイジェリアのファッション業界の発展と、アフリカ各国のクリエイターたちの層の厚さを身をもって体感した。いわゆる欧米のマスメディアで注目されているクリエイターたちは、アフリカ大陸全体における氷山の一角だ。

日本語のメディアでは、さらに露出の機会が限られている、黒人デザイナーらが手がけるファッションの世界。ビヨンセの「ブラック・パレード」掲載のブランドを手始めに、ぜひより多くの方々に体験してもらいたい。

連載:旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」
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文=MAKI NAKATA

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