旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

「グローバル・シチズン・フェスティバル」に出演したビヨンセ (2018年12月2日撮影、 Getty Images)

7月31日、ビヨンセが自ら脚本・監督・製作総指揮を担当したビジュアルアルバム『ブラック・イズ・キング』をリリースした。本作は2019年に公開された『ライオン・キング』を、アフリカの歴史や伝統の物語に拡張させたリメイク版で、映画のサウンドトラック『ライオン・キング:ザ・ギフト』とともに、自らのルーツと全世界の黒人コミュニティを讃美する映像作品だ。

ビヨンセは、このアルバム自体の製作に様々なアフリカ系のクリエイターを参画させると同時に、自身のウェブサイトに「ブラック・パレード」という特集を立ちあげ、黒人経営ブランドのリストを公開している。

アフリカや黒人の文化は、常に「権力」に搾取され続けてきた 歴史があり、昨今は大企業ブランドによる「文化盗用(Cultural Appropreation)」も課題だ。こうした文脈があるからこそ、白人やアジア人が手がける場合も少なくない「アフリカン・ファッション」ではなく、黒人・アフリカ人の視点や彼らのオーナーシップの有無という点に注目する必要がある。

黒人経営ブランドのリスト自体は以前から存在し、主に米国の黒人経営事業が紹介されていたが、この記事では、今回のアルバム発表にあたって新たに追加された“アフリカの黒人経営ブランド”に注目したい。

27カ国、147ブランドが掲載


アルバム『ブラック・イズ・キング』のファッションを手掛け、「ブラック・パレード」特集のキュレーションをした立役者は、ビヨンセのスタイリストとして活躍してきたゼリナ・エイカーズ(Zerina Akers)だ。2018年に南アフリカで開催された「グローバル・シチズン・フェスティバル」のライブなどでビヨンセのスタイリングを担当し、積極的にアフリカ系デザイナーを起用してきた。


「グローバル・シチズン・フェスティバル」のステージ(Getty Images)

アフリカ人デザイナーが手がける多くのブランドにとって、「ビヨンセ」というグローバル・プラットフォームは比類なきプロモーション機会だ。ビヨンセ自身が着用するのはほんの一握りのブランドだが、このリストに紹介されるだけでも大きなインパクトがある。

米国の事業も含むリスト全体では、美容系、飲食、インテリアなど多業種のブランドが紹介されているが、今回追加された27カ国(欧州とオーストラリア、カナダの5カ国含む)・147のブランドは、そのうち136がファッションであり、ほぼ「アフリカン・ファッション」のリストだと言える。

国ベースでいうと、約半分が南アフリカとナイジェリアのブランドだ。上位12カ国の内訳を見ると、南アフリカ(37)、ナイジェリア(30)、セネガル(13)、ケニア(9)、ガーナ(8)、コートジボアール(8)、英国(8)、フランス(5)、ルワンダ(4)、ナミビア(3)、タンザニア(3)、ウガンダ(3)と並ぶ。

文=MAKI NAKATA

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