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ポジティブ・ジャーナリズムの現場から


この8月、終戦の舞台裏を描いた映画「日本のいちばん長い日」を自宅で再び観て、私はツイッターに次のように投稿した。とくに若い記者たちの目に留まってくれるとうれしいと思った。

「何度も言うけど、ジャーナリズムの仕事の本質は、権力監視と悲劇再発防止にあると僕は考える。これをわかりやすく言うと『国家に戦争をさせない』というのはジャーナリズムのもっとも重要な仕事になる。先の大戦の反省を踏まえ」

すると「思い上がりです」とか「どれだけジャーナリストが偉いの?笑」といった反応をいただいた。個人的には多様な意見を歓迎したい。

かつてメディアは日本が戦争への道を突き進むことを止めるどころか、国民をあおった。軍や政府の発表を検証できずにそのまま伝えた。「大本営発表のたれ流し」などとして戦後75年のいまもメディア批判の表現に使われている。現在のメディア不信もメディアみずから招いている側面が大きいことも事実だ。

日本が敗戦を受け入れる直前、重要機密文書が軍や内務省などによって大量焼却された。戦争の検証に資する貴重な「記録」が意図的に失われた。財務省による森友公文書改ざん事件が重なる。


「#あちこちのすずさん」を統括する春日真人チーフ・プロデューサー(左)

NHKキャンペーン「#あちこちのすずさん」を統括する春日真人チーフ・プロデューサーは言う。

「戦争を直接体験した人の記憶をもとに話を聞くことは、いずれできなくなってしまう。その焦りは感じている。でも記録は全国各地にまだ残っている。私たちは記憶と記録の掘り起こしをずっと続けていく」

「8月ジャーナリズム」と皮肉を言われようと、メディアは試行錯誤や工夫を重ねながら伝え続けなければならない。人も社会も、戦争の記憶や悲しみを忘れてしまうものだからだ。これは災害にだって同じことが言える。望まず犠牲となり、悲しみの教訓をいまのわたしたちに伝えてくれる人たちの無念を忘れてはならない。

広島市にある平和記念公園の原爆死没者慰霊碑には、こう刻まれている。

「安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから」

終戦から75回目の夏、あなたは何を感じていますか──。

文=島 契嗣 写真=柴崎まどか

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