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ポジティブ・ジャーナリズムの現場から


石丸さんは言う。「これまでのように『みなさん』に向けてテレビで放送するだけでは、なかなか届けきることができないのではないかと思った。『あなた』のすぐ近くにいるすずさん、というふうに自分ごと化してもらうことで、興味を持ってもらえたらうれしいですね」

「みなさまのNHK」なのに、みなさまではダメだと言うのだ。


「公共メディア」へと生まれ変わろうとするNHKで、この企画をどう展開すべきか考えたという石丸さん

「地域をずっと見つめ取材し続けてきた地方新聞と連携することで、その地域ならではのエピソードを多くの人に伝えることができる。また、スマートニュースやヤフーニュースと連携することで、それをより多くの若い人に身近に感じてもらえる。放送を普段見ている人と違う層に届けることができる」

奇しくもNHKは「公共放送」から「公共メディア」へと生まれ変わることを目指している。放送だけでなくデジタルや地方紙と連動してキャンペーン力を高める今回の取り組みは「公共メディア」のひとつのヒントになりそうだ。

「すずさん」というアイコンを公共のもの=みんなのものにすることで、戦争の記憶を共有し、世代をつなぐという狙いもみえる。

テレビ画面を通してだけではなく、スマートフォンや家庭にある新聞など身近なところから発信される「#あちこちのすずさん」のエピソードを通して、家庭の中でも戦時中の暮らしについて話題にしてもらいたいとの願いもある。

石丸さん自身、3人の幼い子を持つ母でもある。家の中で料理をしているときに「こういう場合、すずさんだったら」と子どもと話すこともあるという。

最近、家庭の中で性教育をどうするかといった話題をSNSなどでもよく目にするが、戦争や平和について子どもにどう教えるか、親子でどう一緒に考えるかについてももっと関心が高まるといいなと思う。

アニメ映画「この世界の片隅に」は8月9日午後3時50分~NHK総合で放送される。NHKの地上波で映画がそのまま放送されることはかなり珍しいが、昨年の放送時に多くの反響が寄せられたことから再放送が決まったという。

8月13日午後10時~は、特集番組「#あちこちのすずさん 〜教えてください あなたの戦争〜」が放送される。番組では、全国から投稿された3000を超えるエピソードのうち、いくつかをアニメにして伝えるという。

文=島 契嗣 写真=柴崎まどか

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