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このところ音楽業界のベテランたちが、ロイヤリティ収入の減少を嘆く声をよく耳にする。彼らはストリーミングの普及をその原因に挙げるが、デジタル化が進展しなければ、ロイヤリティ収入は減らなかったと考えるのは誤りだ。

人々の嗜好は変化するし、最も音楽を消費する年齢層は12〜30歳だが、この年齢を過ぎると多忙になり、音楽を楽しむ機会は激減する。つまり、ベテランたちは、ストリーミングの登場に関わらず収入を減らしていた可能性が高い。

筆者には、1960〜70年代の伝説的なロックスターに複数のヒット曲を提供した知人がいるが、彼は最近、音楽レーベルがベストアルバムを販売しなくなったと嘆いていた。これまで、レーベルは約2年ごとに過去のヒット曲をリパッケージして同じファンに販売し、友人はその都度多額のロイヤリティを得ていた。

しかし、同じ客層に繰り返し似たようなアルバムを販売するのには限界がある。音楽ファンは年を取るごとに消費金額を減らし、アルバムよりもプレイリストを重視するようになるからだ。

今から5年ほど前、大物パブリッシャー2人が「物理的なアルバムの販売減を、ストリーミングで取り戻すことはできない」と述べていた。RIAA(全米レコード協会)によると、米国の音楽業界の売上高は、1999年がピークで146億ドル(約1兆5400億円)だった。去年は111億ドルと、健全な水準まで回復している。

ゴールドマン・サックスが去年公表したレポートによると、ストリーミングの普及によって音楽業界の売上高は2026年には1999年の水準まで回復し、その後は拡大を続けるという。

2014〜2015年には、音楽業界の売上高は67億ドルまで落ち込んでいたが、これはストリーミングがまだ普及する前だった。当時に戻りたいと思う人間はいないだろう。

CDの売上高が1999年以降に減少した本当の理由を理解している業界人はほとんどいないように思える。確かにMP3はCDよりも便利だったが、最大の理由は、CDアルバムには聴きたい曲がせいぜい2曲程度しか入っていないのに、多額の金額を支払うことに人々が辟易していたことだ。

消費者はより少ない金額でより多くを求めるようになり、テクノロジーの進化がなかったとしても、レーベルは自らの利益を削るしか生き残る道はなかっただろう。

編集=上田裕資

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