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2020.08.10

ストリーミングは「音楽業界の悪魔」という俗説のウソ

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ストリーミングの報酬は本当に少ないのか?


「スポティファイは1ストリーム当たり0.003ドルしか支払わない」というように、数字を用いてアーティストや作曲・作詞家の取り分が少ないことを示そうとする人は多い。しかし、これらの数字が推定値に過ぎず、アーティストやレーベルごとに実際のレートが異なることを理解している人は少ない。

支払いレートは、ユーザーが有料のプレミアム会員か無料会員かによって異なるし、無料会員からの支払い額は広告収益に基づいて算出され、広告主の種類や広告料、季節によっても変化する。また、メカニカルロイヤリティかパフォーマンスロイヤリティかによっても異なっている。さらに、アーティストとレーベルやパブリッシャーとの契約によっても変化する。

筆者は、チャート入りしているアーティストがストリーミング報酬について文句を言っているのを聞いたことがない。実際のところ、ストリーミングサービスの有料会員数が増えるにつれ、アーティストの報酬も増加しているのが現実なのだ。

スポティファイの今年第2四半期の株主宛ての書簡には、次のように書かれている。「ランキングでトップ40と言っていた時代は過ぎ去り、今はトップ4万3000の時代に入った」

4万3000というのは、スポティファイの全ストリーム回数の10%を占める“トップティア”のアーティストの数だ。同社によると、1年前のトップティアの数は3万人だったというが、それが4万3000まで増えているのだ。

政界と同じように、音楽業界にも時代に時代に取り残されたことを面白く思わないベテランたちが数多く存在する。彼らが業界のリーダーとして君臨したのはもう過去の話なのだ。

編集=上田裕資

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