表現力をよくするレシピ

コロナ禍の影響で、人前ではマスクを着用することがマナーとなっている。そのため、話していても、顏の半分近くが隠れていて、表情の変化から相手の気持ちを汲み取るのが難しくなっている。

マスクに覆われていない、唯一の顔の部分である「目」だが、実は、目そのものから相手の心を読むのは難しい。「目は心の窓」とも言われているが、感情の変化を感じ取れるのは「目付き」だからだ。

目付きは、口や頬などの表情筋と連動している。私たちは、目から気持ちを読み取っていると思っているが、それは顏全体の動きを含めたうえでの情報なのだ。なので、マスクをしていると、口や頬の動きが小さくなり、目付きの変化も乏しいものとなりがちだ。

眉を上げると優しい表情になる


マスクをしていているときに、はっきり自分の気持ちを相手に伝えたいと思ったら、隠されていない目の周りの動きを意識するべきだ。

たとえば、注意を促したり、危険を知らせたりするときには、眉間に皺を寄せてみよう。しかめ面からは、憎しみや怒りが発せられる。相手はよい感じは持たないとは思うが、それが狙いでもある。子供などに、コロナ禍で大きな声を出して怒りにくいなかで、これはかなり有効な手段だ。

その逆で、相手にくつろいでもらいたいときや、楽しさを伝えたいときは、欠伸をするように眉を上げてみよう。そうすると優しい表情になるからだ。口を開けて笑いかけられない代わりに、この仕草は効果的だ。

また、相手や相手の話に興味を持っていることを伝えるときには、目の周囲の筋肉を動かさないという方法がある。視線をチラチラ移動させず、まばたきを少なくして、相手の目を見る時間を長くする。いわゆる目力に物を言わせるのだ。

わたしたちは、人と話すときは相手の目を見るよう教わってきた。しかし、昨今のようにSNSなどの環境が充実してきてからは、実際に会わなくても、さまざまな交流が可能となった。ネットのおかげで面倒な対面交渉からは解放されたとも言える。しかし、そのぶん顔色から相手の気持ちを慮る観察力は弱ったと言えるだろう。

早くコロナ禍が収束してマスクからは卒業はしたいが、この際、相手の目を真剣に見るようになるのは、よい習慣かもしれない。

これほど、相手の目に注意を払うのは、恋愛しているとき以来かもしれないという声も聞こえてきそうだ。

連載:表現力をよくするレシピ
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文=中井 信之

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