コロナ禍直撃の米飲食業、厳しい現状が明らかに

Photo by Noam Galai/Getty Images

香港では新型コロナウイルス感染の再拡大により市内の全飲食店が休業を強いられ、一方の米国でも感染拡大が収まることなく続いている。新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が今後も世界中の人々の生活に影響を与え続けるのは明らかだ。

カナダやニュージーランドなど、厳格なロックダウン(都市封鎖)を即座に実施したことで新規感染をいくぶん抑えられた国でさえも、経済面での長期的な影響が続くだろう。

レストラン業界は、特に大きな打撃を受けた。全米レストラン協会(NRA)は、パンデミック中に米国のレストランでは軒並み売り上げが減少したと指摘。「未調整のデータに基づくと、3~6月の飲食店での売り上げは予想よりも1160億ドル(約12兆2000億円)以上低かった」としている。

同協会は「レストラン以外の宿泊施設や芸術・娯楽・レクリエーション、教育、医療、小売業での食品サービスでの消費の急激な減少も考慮すると、レストランと食品サービスの売り上げ減少は過去4カ月で1450億ドル(約15兆4000億円)を超える可能性が高い」とした。

一部のレストランはテイクアウトやデリバリー、店舗前での販売に転向を試みたが、中には廃業に追い込まれる店もある。所有主が閉店を報告した米国の店舗の集計を取っている口コミサイトのイェルプ(Yelp)の2020年第2四半期「経済平均報告書」によると、7月10日までに計2万6160件のレストランが閉店し、うち60%は永久的な閉店だった。永久的な閉店のうち、3000件近くは6月15日以降に起きたものだ。

米国では一部の州が経済活動を再開させているが、回復スピードは遅い。米市場調査会社NPDグループは、レストランチェーン大手の売り上げが7月中旬に12~14%減少したことに言及し、「レストランはこれからまだ大きな復活を遂げるだろうが、現時点では業界がフル稼働できるようになるまで動きが取れない状態だ」と指摘。

「その後『回復』段階になれば、レストラン業界は十分な顧客の流れを取り戻してコロナ前の水準に戻れるのか、それとも新たな日常でリセットが起き、消費者はより長期的に自炊をするようになるのかが分かるようになる」と述べている。

新型ウイルス対策で導入される措置が毎日のように変わる中、一つの業界に将来最終的にどのような長期的変化がもたらされるかを予測することは難しい。レストラン業界はただでさえ、非常に少ないマージンと消費者の好みの移り変わりに依存している業界だ。

しかしはっきりしていることは、主要な雇用創出元となっている業界の一つである飲食業に今後もこうした影響がおよび続けるということだ。あなたがかつて食事を楽しんだレストランの多くもその影響から逃れられないだろう。

編集=遠藤宗生

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