経済・社会

2020.08.06 08:30

米国の賃貸暮らし世帯の40%が、立ち退きのリスクに直面

Photo by Scott Heins/Getty Images

失業保険に毎週600ドルを上乗せする連邦政府の給付金が、7月31日に期限切れを迎えた。全米のおよそ2500万人が受けとっていたものだ。

上院の共和党議員が提示した新たな案では、この給付金は43%削減され、毎週200ドルに減額して、9月まで継続されることになる。そうなれば、全米に広がるパンデミックがもたらした経済的大打撃のさなかに、重要な金銭的ライフラインとして週600ドルの給付加算に頼っていた数千万の米国人が深刻な影響を受ける可能性がある。

さらに、連邦政府の立ち退き猶予措置も期限切れとなった。これにより、連邦政府が保証する住宅ローンの対象となる家屋の賃借人が、住む家を失う危機にさらされる。そうした危機にある人は、米国の全賃借人の4分の1あまりにのぼると見られている。

ホワイトハウスの経済アドバイザー、ラリー・クドロー(Larry Kudlow)が延長をほのめかしてはいるものの、この猶予措置が期限切れになると、家主が立ち退き通知を出せるようになる(ただし、少なくともさらに30日間は、賃借人を家から追い出すことはできない)。これに失業給付加算の減額が重なると、米国の賃借人にとっては最悪の事態になる可能性がある。

グローバル・アドバイザリー会社スタウト・リシウス・ロス(Stout Risius Ross)の分析では、米国の賃貸暮らし世帯の40%以上は、コロナ危機のあいだに家賃を払えない事態を経験し、今後4か月だけでほぼ1200万人が立ち退きに直面すると見積もられている。パンデミックの期間全体では、およそ1700万人が影響を受ける可能性がある。

7月中旬に行われた世帯パルスサーベイ・データ(短期的なサイクルで実施する調査)に基づくこの分析では、一部の州では、ほかの州よりもさらに状況が厳しくなりそうであることがわかった。

例えばウエストバージニア州は、立ち退きに直面する賃貸暮らし世帯の割合が最も高く、60%近くに達している。テネシー、ミネソタ、ミシシッピ、フロリダ、ルイジアナの各州はいずれも深刻な影響を受け、50%以上の賃貸暮らし世帯が立ち退きに直面すると見られている。いっぽうバーモント州は、賃借人が立ち退きに直面するリスクが最も低いとされる州だ。それでも賃借人の22%は、今回の危機で家を失う可能性があるという。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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