仮想チームで戦う「ファンタシースポーツ」が日本に残された「蒼い海」の理由

アメリカやヨーロッパで成長してきた「Fantasy Sports」の可能性は (Shutterstock)


Bリーグとネオスポーツ社は2019年のチャンピオンシップにおいて、クイズ形式のFSを運用。ファンの関心を集めていたのは記憶に新しい。クイズの全問正解者によってポイントを分け合うという、日本の景品表示法、賭博法に抵触しない手法も興味深い。

ビジネス的には、このFS分野でどのステークホルダーが飛び出すのか、という点に着目したい。助走期間の長い「ファンタジースポーツ・ジャパン」がその地位を築くのか、またそもそも日本一のユーザーをかかえるスポナビが牽引するのか、はたまた巨人などのチームから浸透するのか、さらにはBリーグなどが公式サービスとして開始するのか……。

「八百長」を排除する発想で、新ビジネス領域開拓


FSは、日本のスポーツビジネス界に残されたブルーオーシャン(蒼い海)と考えてと良い。ゲームとして、どうビジネスモデルを構築するか。その戦略を早期に打ち出し、スタートで飛び出したグループが、これまでのITソリューション同様、第一人者として優位に立つと考えるべきだろう。

アメリカではサンフランシスコ・フォーティーナイナーズが本拠地としているリーバイス・スタジアムを筆頭に、すでにDFS用のラウンジさえ設置されている。ファンは眼の前で繰り広げられる試合を観ながら、他球場で行われている試合情報も仕入れつつ、ラウンジでFSを楽しむという新しい観戦スタイルが確立しつつある。

ヨーロッパでは以前からスポーツ・ベッティングもスタンダードとなっている。日本スポーツ界は、ベッティングについては「八百長がある」だから「ベッティング禁止」というネガティブな発想だ。しかし、スポーツ先進国の集まるヨーロッパでは「八百長」という懸念があるからこそ「八百長そのものを監視し排除する」手法を取り、新しいビジネス領域を切り開いて来た。

日本のFリーグの映像でさえ、ヨーロッパのベッティング会社から買い付けが入ったのは5年以上前のこと。八百長対策としてLIVE映像のディレイを極力抑え配信する条件付きだった。低遅延を謳う5Gは、まさにこうした映像配信を具現化する。

スポーツ庁がとなえる15兆円市場の創造ではIoT活用による領域を2兆円と読んでいる。こうした新たなソリューションを取り入れたその向こうに、日本のスポーツの夜明けが見えてくる…そう表現しては言い過ぎだろうか。

スポーツビジネスに残されたブルーオーシャンの覇者はどのステークホルダーとなるのか、いささか興味深い。


連載:5G×メディア×スポーツの未来
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文=松永裕司

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