ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、訴えたのは上海市に本社を置く上海智臻網絡科技という企業。Siriに似た音声アシスタントの特許を最近取得しており、アップル製品は自社の特許を侵害していると主張している。
訴訟では、特許を侵害しているとするアップル製品の中国での販売や生産、使用の停止を要求。また、アップルに対して、およそ100億元(約1500億円)の損害賠償の支払いも求めている。
SiriはiPhoneや「iPad(アイパッド)」、「Apple Watch(アップルウォッチ)」、「Apple TV」、パソコンの「Mac(マック)」、スマートスピーカーの「Homepod(ホームポッド)」などほぼすべてのアップル製品に搭載されている。
中国はアップルにとって米国外では最大の売上高を誇る市場だが、華為技術(ファーウェイ)をはじめとする地元勢との激しい競争にさらされている。ファーウェイはこのほど、アップルなどおさえて世界のスマートフォン出荷台数で首位に躍り出ている。
WSJの報道によれば、暫定的な差し止めが申し立てられると、地方の裁判所はSiriを搭載したアップル製品の中国での販売を、裁判が続く間禁止することを決められるという。
アップルは、グーグルやフェイスブック、アマゾンといったほかの米テック大手と異なり、中国でかなり大きなプレゼンスがある。中国の厳しいインターネット関連法に従っていることが主な理由だが、この点に関しては米国内で批判にさらされてもいる。
米中の貿易戦争が続くなか、ドナルド・トランプ米政権はファーウェイやZTEなどの製品に制裁を科すなど、中国のテック企業を標的にしている。トランプは最近、中国企業傘下の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国での使用を禁止するとも脅した。TikTokは現在、米企業による買収交渉が進んでいる。
アップルは2016年、「IPHONE」という商標でハンドバッグやスマートフォンケースを製造していた中国企業との知的財産訴訟で敗訴している。これに先だつ2012年にも、中国で「iPad」の商標権をめぐる別の中国企業との訴訟で、6000万ドル(約63億円)の支払いに応じて和解している。