デジタル金融サービスの普及はパンデミックの発生以前から進んでおり、調査企業McKinsey & Companyの調査で、2019年には70歳以下のユーザーの60%が利用していた。
グーグルは昨年11月に社内のコードネームで「キャッシュ(Cache)」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げていた。米国のGoogle Payユーザーは今後、デジタルの当座預金と普通預金サービスが利用可能になるが、口座の管理はFDIC(連邦預金保険公社)の支援を受けたパートナー銀行が行うことになる。
グーグルは既にシティグループとSFCUと提携を結んでいたが、新たにBank Mobile、BBVA USA、BMO Harris、Coastal Community Bank、First Independence Bankらを迎え入れ、さらに複数の米国の金融機関を加える計画という。
米国のテック業界ではグーグルだけでなくアマゾンやフェイスブック、アップルらも金融サービスへ進出を開始し、さらに重要な個人データを集めようとしている。
消費者の多くが大手テック企業の金融サービスに信頼感を抱いており、McKinseyの調査によると、この分野で最も信頼感が高いのはアマゾンで、全体の65%が信頼できると答えていた。2位のグーグルの信頼度は58%で、続いてアップル(56%)、フェイスブック(35%)の順だった。
シティグループは今年5月、パンデミックの発生を受けて米国のモバイルの当座預金の残高が急増し、アップルペイの利用回数も急激に増えたと述べていた。
「消費者の金融サービスの利用の仕方はパンデミックを受けて激変した。デジタル化への流れが一気に加速した」とシティグループCEOのJane Fraserはフォーブスの取材に話していた。「シームレスなデジタルのサービスや、パートナー企業との連携により我々のリーチを数億人に広げていく」と彼は述べていた。
しかし、米国議会が大手テック企業に対する監視の目を強める中で、グーグルやアマゾン、フェイスブックらのデジタル金融サービスが逆風に直面する可能性も浮上している。