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2020.08.05 10:00

ケニアの「林業版エアビーアンドビー」Komazaが30億円を調達

Paolo Sasso/EyeEm / Getty Images

サンフランシスコのベイエリアで育ったテビス・ハワードは、高校卒業後の2002年にマラリアの研究のためアフリカのケニアを訪れた。貧困がマラリアの被害を拡大させる一因になっていることに着目した彼は、ブラウン大学に進んで以降も度々ケニアを訪れ、2006年に林業を通じて農家の所得向上を支援する非営利団体を設立した。

その後、彼が立ち上げたスタートアップ「コマザ(Komaza)」は今年7月のシリーズBラウンドで、2800万ドル(約29億円)のエクイティ出資を獲得した。今回のラウンドにはNovastar Venturesや、オランダの開発銀行FMOなどが参加した。

コマザのビジネスモデルをハワードは「林業版のエアビーアンドビー」と呼んでいる。利用されていない土地を持つ農家は、コマザの指導のもとで苗木を植える。その後、長い年月をかけて木々が育ち、伐採されると彼らに報酬が支払われるのだ。

ハワードは2014年のフォーブスの30アンダー30の、社会起業家部門に選出された。「当社は林業のサプライチェーンと連携し、ケニア最大の苗木のプラットフォームを運営している」と彼は話す。

農家はいったん苗生を植えれば、雑草が生えないように管理するだけでよく、その他の日々の仕事に専念できるという。「時間はかかるが、そこで育つ木々は農家にとって大切な資産となる」

木々が十分に育ったら、コマザの伐採チームが収穫し、材木に加工した後に、アフリカの各都市に運んでいく。「アフリカでは今後の数十年の間、成長が続くことが見込まれ、建築や家具向けの木材の需要は伸び続けていく」とハワードは話す。

コマザは現在、2種類の木材の苗生を植えている。床材や家具向けに利用されるマホガニー材の原料となるMelia volkensiiと、工業分野向けのユーカリの木だ。同社はこれまで2万世帯以上の小規模農家と提携し、300万本以上の苗木を、5000ヘクタールを超える面積に植樹してきたという。

エアビーアンドビーは、自社では土地や建物を保有せずに事業を運営しているが、コマザもそれと同じスタイルで林業を行っているとハワードは語る。「農家は当社とパートナーシップを結び、土地を提供し、苗木の世話をすることで報酬が得られる」

コマザは以前は、沿岸部のキリフィという小さな町を拠点としていたが、最近になって首都のナイロビに移転し、約450人の社員を抱えている。同社のCFOは三菱商事出身の熊平智伸が務めている。

コマザが創業後の10年間で調達した資金は500万ドルだったが、2017年のシリーズAで1000万ドルを調達していた。

編集=上田裕資

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