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高級百貨店ニーマン・マーカスは、テキサス州の連邦破産裁判所にジェフロイ・バン・ラムドンクCEOら幹部に総額1000万ドル(約11億円)分の昇給を与える許可を要請した。この報酬は「日々の経営に欠かせない」もので、破産手続き中の同社の成功に寄与するとされている。

ブルームバーグによると、新型ウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)措置が始まって以降に破産を申請した100社のうち、19社が残留特別手当や業績賞与として総額1億3100万ドル(約140億円)の支払いを決めている。

よくある言い訳は、大変な破産手続きを通して会社を導くためには経営陣を経済的に支援する必要がある、というものだ。特別手当は「回収」が可能となる場合もあるとされているが、実際に回収できることはほとんど(あるいは全く)ない。

多額の残留手当は各企業をこの泥沼に導いたそもそもの原因である経営陣に支払われるため、疑問視する声が外部から出るのも当然だ。また、従業員が千人単位で解雇され、特別な手当も与えられなかったことに対する批判も出ている。解雇された人々は、現場で大変な作業や顧客対応を担う一般社員であり、会社を支える存在だ。

確かに、大規模で多角的なグローバル企業の経営は一筋縄ではいかず、前代未聞のパンデミックの最中には特に難しい。対面のやりとりが必要な業界や、国や州の指令により事業の閉鎖を強いられている企業ではなおさらだ。経営陣の努力や、今後直面する不安・不透明さを考慮して公平に報酬を与えるのは筋が通っている。

人々が怒りを感じているのは、企業の明らかなダブルスタンダードだ。上級役員やCEOは経済面で手厚い待遇を受ける一方、平均的な労働者には配慮が与えられない。役員には恐らく苦難を切り抜ける資金源があり、どこかで高給な仕事を得るのに十分な人脈も培ってきただろう。

一方、破産した企業の平均的な労働者は、異なる現実に直面している。こうした従業員は、ここ最近に5000万人以上の米国人が失業手当を申請した過酷な求人市場に放り込まれている。新たな職を得るための競争は非常に激しく、ほぼ毎日のように採用の停止や解雇が発表されている。

役員に対する多額の特別手当も、労働者に対して同じ配慮があるならば目をつむれるかもしれない。そうなるまでは、米国の資本主義的な社会への信頼は下がり続けるだろう。平均的な米国人は、社会の仕組みが自分に不利益を与えるようになっており、勤勉な中産・労働者階級を無視し、富と権力のある人をひいきしていると感じるだろう。

編集=遠藤宗生

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