時代を読む、東京ホテルストーリー vol.2「メズム東京、オートグラフ コレクション」

最上26階に位置するチャプター4 スイートリュクス。


リモートワークにも、魅惑の東京再発見にもお薦めのアーバンリゾート


ホテルは26階建てのタワー内に入り、16階から26階までを占有している。客室数は全265室、ブティックホテルとしての規模となるとやや大きいが、ゲストの顔が見える部屋数に収まっている。施設はバンケットルームが1室、メインダイニング「シェフズ・シアター」と、バー&ラウンジ「ウィスク」、クラブラウンジ、フィットネスが揃う。

レストラン名をシアターとし、客室をチャプターと呼ぶなど“劇場”にこだわるのは、「劇団四季」の常設シアターが隣接しているからか、それとも、劇場のごとく、ホテル内で次々と起こる感動体験の舞台を想定しているのだろうか。


最上26階に位置するチャプター4 スイートリュクス(180㎡)。寝室には200cm幅のキングサイズベッド、リビングルームにはデジタルピアノが置かれ、ダイニングルーム、キッチンから構成。バルコニーは60㎡、東京ベイエリアと浜離宮恩賜庭園を一度に見渡せる。

いずれにしても様々な顔を持つ「メズム東京」がメインのコンセプトに掲げたのが、「TOKYO WAVES」である。前述の通り、“今”を感じるサービスを提供する一方で、五感に響く感動として様々な音楽にもこだわっている。館内に流れる音をBGMとはせず、オーディオもスピーカーも厳選し、特別オーダー機器の設定で“FGM(フォアグラウンドミュージック)”として提供している。


16階にある天井の高いロビーラウンジには都会の夜景が映り込む。天空にはまるで天の川のように輝くアートなライティング。天井には全く見えないようにこだわりのスピーカーを搭載している。

「聞き流すのではなく、聴かせる音楽を」と総支配人は自信をのぞかせる。音による空間デザインという新たなジャンルがこのホテルに生まれ、その音楽は、館内のエリアごとに大きさも音色も違えている。

たとえば、日が暮れて夜景が窓に映り込むキラキラ時間になると、毎晩、ピアノを始めとした音楽の生演奏やパフォーマンスを行う「ショーケース」が始まる。生演奏が流れる館内は、確かにゴージャスな大人の雰囲気に包まれる。近年、日本のどのホテルでもなかなか味わえなくなったが、80年~90年代の高級ホテルが競うように繰り広げた、カクテルが似合う優雅なひとときを思い起こさせてくれる。


各部屋のリビング、または窓際に置かれるデジタルピアノ「Privia(プリヴィア)」。奏でるのも歌うのも自由に。

ライブ感を楽しめるのは音楽だけではない。このホテルが自負する“自慢のグルメ”の世界にも斬新な体感が待っている。大きなオープンキッチンから創り出されるのは、本物志向を貫く本格的フレンチだ。「ビストロノミー」スタイルという新たな造語も生まれた。

提供される料理の数々は、カジュアルなビストロの雰囲気と、美食や食道楽を指すガストロノミーな料理の融合である。料理長が腕を振るう独創的でダイナミック、そして美しく繊細な料理は、お世辞抜きで一皿ごとにどれも美味しい。食に煩い辛口な食通も、流行りのイノベートとも違う、新たなジャンルの料理に新鮮な思いを抱くはずだ。




ライブ感あふれるオープンキッチンで作られる料理の数々。上段はディナーのアミューズ、繊細な技に食材の美味しさが詰まる。下段は大人気のサラダ、フレッシュな野菜と彩の美しさに旬をいただく歓びが。

客室の使い勝手の良さや、個性的なアーティストとのコラボレーション、高級感に縛られない今どきのカジュアルな雰囲気、そこに迫るきめ細やかなもてなしが、新感覚の絶妙なバランスとなり快適な滞在に繋がっているのだろう。

メズム東京、オートグラフコレクション
東京都港区海岸1丁目10-30
https://www.mesm.jp/

文=せきねきょうこ 写真=mesm Tokyo

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