せめて月に一度くらい、可能なら二度でも三度でも、誰にも邪魔されず、両手を伸ばして深呼吸をするために滞在するのはどうだろう。
東京のホテルは、時に伝統文化や江戸の粋が活かされ、また時には、都会らしい最新鋭設備を纏うなど、それぞれが個性的に進化を遂げている。ゆったりと異空間に身を委ね、すべてを忘れて過ごす癒しの時間。まずは週末、金曜日の夜にチェックインして、日曜の午後まで、別宅で過ごすように、自分独りで夢想に浸るのも今どきの流儀であろう。
ホテルジャーナリスト せきねきょうこ
借景は特別名勝の日本庭園 ジャパン・クオリティが放つ新時代のモダニズム
客室からは特別名勝・特別史跡指定「浜離宮恩賜庭園」が見渡せ、東京ベイエリア地区のダイナミックなロケーションがリゾート感を誘う。
大都市東京には様々な顔があり、エリアによって、すっかりその情景が変化する。しかも超都心地域でさえ案外緑や公園が多く、ウルトラモダンなビルがあるかと思えば、一方では、江戸の粋を残すのどかな下町もある。東京は都会的なシーンと同時に、世界遺産の高尾山や小笠原の大自然まで、豊かなバリエーションに魅力が隠されている。
さて、ここにご紹介するオートグラフ コレクション ホテルというコレクションブランドは、世界的なホテルグループ「マリオット・インターナショナル」のラグジュアリーブランドである。「メズム東京」は、JR東日本グループ初のインターナショナルブランドとの提携ホテルとして、個性豊かなオリジナリティあふれるブランドの冠“オートグラフコレクション”を掲げ、2020年4月27日に開業を迎えた。
「メズム東京、オートグラフ コレクション」の建つエリアは、海あり、河川あり、名庭園ありのダイナミックなロケーションである。ホテルに隣接するのが特別名勝・特別史跡指定「浜離宮恩賜庭園」であり、客室からは、眼下にこの歴史ある名庭園の全貌が望める。またこの地が、アーバンリゾート・エリアとして注目される竹芝ウォーターフロント開発計画「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」内ということも整備が行き届いている理由だ。
ホテルにも、これまでの新規ホテルとはひと味違うこだわりが隠されている。「TOKYO WAVES」と称し「東京の“今”に根差したサービスやコンテンツの提供」を掲げるコンセプトを紐解いてみよう。
恐らく“今”とは、今から未来に向けたホテルとしての柔軟な取り組みを意味していると思われる。数々ある違いのひとつ、まず見えてくるのは、クルー(接客スタッフをそう呼ぶ)のウェアやヘアスタイル、靴に至るまでのトータルなファッションへの気遣いである。
総支配人が言う、「ここでは、常に今をときめくスタイリッシュないでたちが望まれている」と。その総支配人の生沼久氏自身、髪形はとてもユニークで、リーゼントかポンパドールか、日本のホテルマンとしては見慣れぬヘアスタイルが新鮮だ。副総支配人も丸刈りの坊主スタイルに顎鬚を蓄えている。「メズム東京」はアイデンティティを自由に表現する舞台のようである。
チャプター3、スイート(95㎡)。18階~24階に造られた全7室の贅沢なスイートはバルコニー付きのガーデンビュールーム。全室共に浜離宮恩賜庭園を一望できる。
今、世界のラグジュアリーホテルは、クラシックな伝統ホテルを除けば、最高級施設でありながら、気取りのない雰囲気の中でプロフェッショナルな最高のもてなしがあることにシフトし始めている。「メズム東京」も、まさに若いクルーのきめ細やかなサ-ビスや、スタイリッシュなデザインと、充実した施設が快適な滞在に繋がっている。
すべてのバスルームに置かれるこだわりのアメニティBOXは大好評。