Xboxなどのゲーム事業にもメリット


その流れを変えたのが2014年に新たにCEOに就任したナデラだ。彼はまず、企業向けサービスの買収に注力し、2016年に260億ドルでリンクトインを買収したのに続き、2018年にはGitHubを75億ドルで買収し、クラウドサービス事業のAzureを強化した。

TikTokの買収は、ゲーム部門のXboxやタブレットのSurface、マインクラフトなどのコンシューマ向け事業の強化にもつながると予想される。

マイクロソフトの元バイスプレジデントで、現在はベンチャーキャピタルMadrona Ventureに勤務するソマ・ソマセガーは、「TikTokの広告ビジネスが将来的に、Bing部門に統合される」と予測する。さらに、ゲーム事業においてもTikTokが、Xboxを補完するストリーミングサービスになると見込んでいる。

マイクロソフトがTikTokをうまく取り込めば、同社はオンライン広告分野の第4の企業として浮上することになりそうだ。証券会社Wedbushのアナリスト、ダン・アイブスはTikTokの米国事業が、2020年に5億ドル近い売上をあげ、2021年には10億ドルを生み出すと予測している。アイブスはさらに、TikTokが将来的に2000億ドル規模のビジネスに成長すると見込んでいる。

また、マイクロソフトには十分な資金があると彼は指摘する。同社は現在、1360億ドルのキャッシュを保有し、2020年に新たに390億ドルのフリーキャッシュフローを創出する見通しだ。

先週の米国議会の公聴会には、フェイスブック、グーグル、アマゾン、アップルの4社が召喚されたが、関係者らはそこにマイクロソフトが呼ばれかった点に注目した。

競合企業に議会の厳しい目が注がれる中で、その追求を逃れた同社は、TikTokの買収で大きな利益を手にするのかもしれない。今回の買収は、ナデラ率いるマイクロソフトの新たな野心を示している。

「TikTokを傘下に収めることで、マイクロソフトは新たなDNAを取り込むことになる」とベンチャーキャピタリストのDasは分析した。

翻訳・編集=上田裕資

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