「ナチュラルなメイクが主流だと思う。昔のように派手な色のリップを塗る人は減ったかもしれない。ブラウンやピーチなど、控えめでより肌に馴染む色が好まれているように思う。少し前までは『水光メイク』といって、光が直接反射するようなみずみずしい肌を演出することが流行っていたけど、今は『ツヤ肌メイク』が注目されている。食器のようにつるっとした印象で、水光より少し落ち着いている。口元も肌も落ち着いて、エキゾチックな印象を与えるの。
あとは過去と比べて、最近はみんな『個性』を追求するようになったと思う。トレンドはツヤ肌とはいえ、未だに個性や好みに合わせて水光メイクをする人もいるしね。私が好きなユーチューバーはチョ・ヒョジン。128万人もサブスクライブしているわ。彼女もベースはナチュラルに抑えながら、奇抜なポイントメイクで個性の表現の仕方を発信している」
全体的にナチュラルで、それぞれが持っている個性を生かせるメイクが流行しているそうだ。筆者自身は、日本でも注目されている「スタイルナンダ」が示すメイクの中に、韓国の旬なメイクが取り入れられているように思える。艶やかで自然体な肌と、肌になじむオーガニックな色の口元が特徴的である。
一概にはトレンドを一つに絞れない様子を見ると、韓国の美容でも多様性が広がっているように思える。
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外国人モデルが韓国で見た「異常な美意識」
筆者には、ソウルで外国人モデルとして活躍するオランダ出身の友人がいる。彼女は渡韓して3年以上経つ。2年ほど前から韓国でモデルを始めたが、仕事をする度に韓国の美容事情に驚かされると話した。国際美容整形学会(ISAPS)の報告によると、人口1000人あたりの件数を比較すると、韓国は13.5件で世界1位である。時々「行き過ぎた美容」に懸念を抱くそうだ。
「韓国人たちの美意識の高さにはいつも感心している。ほとんどの10代の女の子たちが積極的に皮膚科に通っている。オランダでは、よっぽどのことがない限り行かない。ケアを入念にするのは良いのだけど、韓国に限らず、美容の沼にハマると本当に危ないと思う。とあるブランドのイベントにモデルとして出席した時、現場にいた韓国人のモデルに驚いたの。彼女が話す時、口が思うように動いていなかったから。
その場にいた外国人のモデルたちはみんなびっくりしていた。不自然だとこちらが衝撃を受ける中、彼女のインスタグラムには大勢のフォロワーがいることを後に知った。彼女の外見はいわゆる、『韓国の理想の女の子』だった。小さな顔にプラスティックが刺さったような鼻。過度な美意識がトリガーとなり、今の彼女が存在するのだと思う。私にとっては、彼女から個性を感じられなかったし、何より不自然だった。多様性が求められている中、私がとやかくいうことではないけど、何か大切なものを削ぎ落としてまで美しさを追求してしまっているようだった」