コロナ感染抑制のカギ握るのは14歳以下の子供? 米・伊で報告

Photo by Alexi Rosenfeld/Getty Images

2つの国の特定の地域で行われた調査で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大の要因に関して共通点のある結果が示されていることがわかった。感染した乳幼児から14歳までの子供たちが最も“効率よく”感染を拡大させ、パンデミックが続く大きな要因になっている可能性があるというのだ。

研究結果を報告したのは、米イリノイ州シカゴにあるアン&ロバート H. ルーリー小児病院の医師ら(米国医師会雑誌:JAMAで発表)と、イタリア北部トレント自治県の保健衛生当局の専門家ら(査読前の論文を公表するmedRxivに掲載)。

シカゴの研究チームは、感染検査のために鼻咽頭(上咽頭)から採取した検体に含まれるウイルス量を調査した。その結果、軽度~中程度の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を発症した5歳未満の幼児の鼻咽頭には、それ以上の年齢の感染者の10〜100倍のウイルス量があることを確認したという。

感染した5歳未満の幼児が咳やくしゃみをしたり、大声を出したりすれば、より多くのSARS-CoV-2を含む飛沫が鼻咽頭から空気中に放出される。成人の感染者の100倍ものウイルスを持っているとすれば、幼児がより効率的にウイルスを拡散させていると考えるのは理にかなったことだ。

研究チームは、Covid-19を発症するこの年齢の幼児の割合は少ないものの、感染拡大に大きな役割を果たしている可能性が高いと指摘している(5~17歳の子供たちのウイルス量は、18歳以上の成人とほぼ同じだったという)。

もう一方のイタリアでの調査は、トレント自治県で行った大規模な接触者の追跡調査の結果をまとめたもの。同県では感染者の急増を受け、今年3月からロックダウン(都市封鎖)を実施。学校・大学、食料品店と薬局などを除くすべての店舗を閉鎖したが、1カ月以上にわたって感染者が急増した。

調査で明らかになったのは、子供は成人と比べて感染・発症のリスクが低いものの、14歳以下の子供がほかの人に感染させるリスクは成人より2倍以上大きくなっていたということだ。

接触した人に占める発症者の割合が最も高かったのは、14歳以下の感染者(22.4%)で、最も低かったのは30〜49歳の感染者(11%)だった。これについてチームは、「子供たちが同一世帯の成人を感染させるリスクが高い」と説明している。

さらに、感染した幼児の鼻腔に特にウイルス量が多いことはRSウイルスでも確認されていることから、SARS-CoV-2でも同様であるためだろうと述べている。これは、シカゴでの研究結果と同様の指摘だ。

シカゴとトレントの調査結果はどちらも、制御不可能な感染拡大の長期化に直面するなか、閉鎖していた学校を再開すべきかどうか検討中の国に深刻な影響を与えるものといえる。

「いろいろな物を触ってはいけない」「おもちゃなどを共有してはいけない」「マスクをしなさい」、などと言っても、幼い子供たちが常にそれらの指示を守るとは考えられない。つまり、避けるべき行動が取り続けられる可能性がある限り、感染拡大の抑制は難しいということになる。

乳幼児から14歳の子供たちの感染力が成人より強いとすれば、1日当たりの新規感染者数が増加、または急増している地域で学校を再開することは極めて危険であり、賢明ではないともいえそうだ。

編集=木内涼子

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