中国が対米貿易合意を軽視、大豆輸出量が大統領選に影響も

Joe Raedle/Getty Images


ドナルド・トランプ米大統領は7月下旬、スポーツ&エンタメ系ブログ「Barstool Sports」を立ち上げたデイヴィッド・ポートノイ(David Portnoy)のインタビューに応じ、第1段階の合意は実に「素晴らしい取引」だと思ったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のせいで嫌気が差したと語った。また、この合意にはもはや以前のような熱意を感じていないと述べた。

トランプとポートノイの対談は、大統領選のライバル、ジョー・バイデンが、ラジオ番組「ザ・ブレックファスト・クラブ」の司会者シャーラメイン・ザ・ゴッド(Charlamagne tha God)のインタビューに応じたこととよく似ている。

米中貿易戦争を見守る専門家の気がかりは、米国で秋の収穫時期を迎えても、中国が米国産大豆を無視し続け、米国の農家たちが、収穫した大豆をサイロや倉庫に貯蔵せざるを得なくなるのではないかということだ。その場合、ともすれば米国の一部地域で怒りが募り、米中緊張関係の改善に票が投じられる可能性が出てくる。

そうした変化を象徴するのがバイデンだ。その場合、バイデンの勝利が、米国産大豆を中国に再び輸出するための道を開くことになるだろう。中国は米国に対し、元の状態に戻すよう迫っている。

農業が盛んないくつかの州、そして、全米の農家の一部は、中国を最大の市場としている。米国の農家は中国に依存するようになっているのだ。このまま放置しておくことはできない。

米大統領選挙の投票日まで、残り100日を切っている。そして中国は、これまでも躊躇することなく、農業が盛んな州を標的にして、米国政府を服従させようとしてきた。同じことを中国はまたやるかもしれない。そうなれば米国の農家は、秋に収穫したもののほとんど売れ残ってしまった大豆の貯蔵スペースを、さらに確保しなければならなくなる可能性がある。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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