モード学園創業者・谷まさる氏が考える「学びのこれから」

学校法人日本教育財団の谷まさる氏


モード学園では、これに呼応してリモート環境で日本を代表するフォントメーカーの「モリサワ」さんと、コロナ収束後の明るい未来を想像して、ユニバーサルデザインフォントのノベルティグッズを作ったり、IT・デジタルコンテンツを学ぶ専門学校・HALでは、「ユニバーサルミュージック」さんとのコラボレーションをして、リモート環境でアーティストのフルミュージックビデオを制作するといった企業連携をこれまで以上に行っています。

──こういった企業との連携は、以前から積極的にしていらっしゃいますよね。中学や高校でも、そういった企業や社会とのつながりは高めていくべきとお考えですか?

やはり、もっと自由に社会に出て、様々なことに手を出させた方が人間が育つと思うんですよ。学力を育てるだけではなくて、人間を育てなければと思います。言われてやるのではなくて自ら努力をする。そういう人間を育てておけば、どんなことにも対応できると思うんです。

1人ひとりのできることを見つけ、精神的な自由を保つ


──1人の経営者としても、教育事業をはじめた身としても伺いたいのですが、谷さんがリーダーとしてそういった哲学をお持ちになられたしても、それをきちんと組織の文化として浸透させなければ、ここまで大きな事業にはならないと思います。そこにはどんな工夫やポリシーがあるんでしょうか?

リーダーの素質というか条件は、「他人に余分なことを求めない」ことだと僕は思うんです。自分にできるから人もできるんだと思うから腹が立ってろくなことを言わない。だから、部下がついてこないわけです。自分ができることが人ができるとは限らない。その人にはその人のできることがある。それを見つけてやらなければいけないと思うんですね。

例えば僕は、モノが正確にまっすぐに置かれていないと気が済まない性格なんですね。(デスク上の文房具を指して)こうやって、全部ピシっと置かれている。

でも、たとえばテレビ局なんかに行くと、もうぐちゃぐちゃなんですよ(笑)。もう机の上では仕事ができないからといって別の場所で仕事していたりする。

きちんと整理整頓したらもっといい仕事ができるのにと思うんです。でも、うちの先生にそうやって僕が指導するかというと、しない。もちろん見に行ったら「あー」と思うこともあるんですよ。でも、できるだけ無理を言わない、人はそれぞれなんです。



──一代で事業を大きくなさる方は、強烈なリーダーシップがあるがゆえに、どこかワンマンな側面をお持ちなものだと思っていました。

縛られる仕事には就きたくないし、就かせたくないんです。やっぱり人間は自由じゃなくちゃいけません。何をやってもいいということじゃなく、精神的に自由であることが大事なんです。

仮に整理整頓を指示されたとしても、精神的な自由だけは保つ。自分は自分らしいところを残してあげるということが僕は必要だろうと思っているんです。

──人それぞれの「らしさ」を見つけてあげ、精神的な自由を担保する。まさに教育のあるべき姿のように思います。

今すごく時代が揺らいでいる中で、谷さんの言葉は、常に時代の空気を感じていらっしゃるからこそなんだと、とても納得しました。




連載:新しい学びの形
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文=杉浦太一

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