モード学園創業者・谷まさる氏が考える「学びのこれから」

学校法人日本教育財団の谷まさる氏

13歳〜19歳のためのオンラインスクール『Inspire High』を立ち上げたことを機にスタートした本連載。私、杉浦太一が、教育の第一線で活躍するプレイヤーと一緒に「新しい教育」について考えます。

今回は、ファッション・コンピュータ・医療の専門学校・モード学園や、HALを一代で築き上げ、社会に役立つ創造性豊かな人材育成を目的に、2つの専門職大学を開校した、学校法人日本教育財団の谷まさる氏に「学びのこれから」について伺いました。



コロナで、教育の国際化が加速する


──新型コロナウィルス(以下、コロナ)によって、ニューノーマル時代に突入していると思うのですが、谷さんは、日本の教育が今後どうなっていくと思いますか?

コロナって悪いことばかりみたいに思われていますが、教育という点においては、大きなプラスもあると思っています。中でも顕著なのが、指導者がグローバル化することです。例えば、多忙な有名人や、世界的に優れた指導者がオンラインで教えることにより、教育と呼ばれるものの範囲が非常に広がり、多様化と国際化に繋がっていくのではないでしょうか。

──教育における地理的な制約がなくなるということですね。

どんなことでもマイナスばかりじゃないですよね。プラスばかりでもないけれど。

──同時に昨今教育現場では、「クリエイティブ教育」の必要性も言われています。日本でいち早くこの分野に取り組まれた谷さんは、現在をどう見ていらっしゃいますか?

「クリエイティブ教育」というのは、噛み砕くと「好きこそ物の上手なれ」という意味だと理解しています。ですから、「好きなことを仕事にしよう」とすることが大事なのではないでしょうか。そうすれば進んで努力して、一人前になります。



──とはいえ、好きなものを見つけるのも難しいことですよね。Inspire Highで様々な中高生と関わる中で、夢がないことを悩みにするメンバーもいます。

夢がないのは、いろいろなものを読んだり、見たりする機会が少ないのではないでしょうか。乱読でもいいですから、どんどん読書でもすれば夢は出てきますよ。

誰にでも可能性があると信じる


──では、偏差値などの画一的な評価や指標から脱却し、「クリエイティブ教育」を日本で根付かせるためにはどんなことが必要ですか?

3つのポイントがあると思います。

1つ目は「誰にでも可能性があると信じる」こと。2つ目は君ならできると「忍耐強く伝え続ける」こと。そして3つ目は、「人間に対して情熱と愛がある人を指導者にする」こと。

誰に対してもあきらめないし、決して人の夢を壊さない、夢がない人には作る。そういう信念を持った人が指導者になるべきだと思っています。



──とても共感します。モード学園は専門学校ですが、中学や高校での教育に期待したいこと、求められることはなんでしょうか?

もう少し自由な考えを育ててほしいですね。先生方も、どこの学校に入ったという成果によって評価されるものですから、現状から変わることができない部分もあると思うんですけど。

でも、それだけでは困るので、文部科学省が、「国立大学改革(※1)」というものを打ち出し、人材育成・イノベーション創出に力を入れると宣言しましたよね。

※1:文部科学省が、今後の高等教育が目指すべき姿を踏まえつつ、今後の改革の方向性と論点を提示したもの。
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文=杉浦太一

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