ビジネス

2020.08.21

競合はいない。「セントラルキッチン型」再生医療ベンチャーの挑戦

セルソース株式会社 代表取締役社長CEO、裙本 理人氏


──現状、当初目指していたところと今のギャップはありますか?

ギャップはありませんが、当社の成長スピードが想定以上になっていると感じています。5期目にして、アカデミックの世界の方と複数のコラボレーションが生まれるようになり、関節症治療、不妊治療、乳房再建の領域では大学との共同研究をしています。

──目的から逆算して、アクションを積み上げていくコーゼーション(逆算思考)なんて言葉を聞きますが、ビジネスについての基本的な考え方は一緒ですか?

剣道やトライアスロンはもちろん、スポーツは全て目標を決めてちゃんと練習していかないとダメです。既にお話させていただいたように、商社時代にも、新しい取引先にはとにかく、課題やニーズを聞くこと、「課題ドリブン」の重要さを感じていました。その意味では逆算思考は、昔から肌で感じていたのかも知れません。

ただ、最近は時代の変化が速すぎるので、ビジネスについては、走りながら適宜見直す能力も大事だと思っています。つまり、走りながら考えるという部分も必要であるということです。

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2012年夏にオーストリアのクラーゲンフルトで開催されたIRONMAN。裙本にとって初めてのIRONMANで無事完走。レースは猛暑38度の中で行われた

──セルソースの展開しているビジネスにおいて、新型コロナウイルスからの転機はありましたか?

はい、オンライン学会とオンライン営業の登場です。毎年5月に日本整形外科学会学術総会という日本最大の整形外科に関する学会が行われていたのですが、今年はコロナの影響でオンラインでの開催になりました。

それで何が起こったかというと、通常よりも参加者が増えたとのことなんです。一方で参加する先生方は各地域からオンラインで入っているので、診療を休む必要も少なかったと思います。恐らく日本の整形外科の休診日は減ったのではないでしょうか。今までは、整形外科医は休診して、学会に来るしかなかったわけですが、その必要がなくなりました。

われわれ事業者にとっては、事業内容やサービスの認知を得るのも学会の重要な役割だったわけですが、オンラインに加え、録画視聴も提供することにより、今度は、時間の取れなかった医師の方も、夜に学会の様子を観ることができるようになりました。結果、多くの医師や関係者の方に当社の認知を広げることができました。
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取材・文=曽根康司 撮影=帆足宗洋 編集=石井節子

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