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「持続的低収益性」の体質を持つ日本企業に対し、「ROE最低8%」という提言をした一橋大学大学院の伊藤邦雄教授の日本の経営者への期待とは。

日本企業の経営者は、2つの大きな市場と真剣に向き合うべきだ。ひとつは、顧客市場。もうひとつが資本市場である。
 
これまで日本企業はパラドックスの状態にあった。顧客市場については、製品や商品に関するイノベーションを非常に大事にし、イノベーション創出活動という点では国際的にも高い評価を受けていた。その一方で、資本市場に対しては低成長のため、資本効率が悪く、株価が長期低迷するという「持続的低収益性」の体質を抱え込み、投資家との対話も不足してきた。
 
日本経済のバブル崩壊後の「失われた20年」は、こうした持続的低収益性企業の増加とシンクロしてきたといえるだろう。だからこそ、日本経済の立て直しには、引き続きイノベーションを生み出し、かつそれが持続的な高収益に結びついていく―このような好循環を作り出す必要がある。そのためには、日本企業の経営者たちの意識改革が必要だ。
 
こうした問題意識が出発点となり、2013年7月に経済産業省内に「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトが立ち上げられ、その座長を私は務めた。そして14年8月、約1年の議論を経て、「最終報告書(伊藤レポート)」を発表した。

「ROE8%」の本質

同レポートでは、「日本企業は最低限8%を上回るROE(自己資本利益率)を達成すること」を主な提言とした。なぜ、ROE8%なのか―。
 
ROEとは、投資家が企業に投資する際に最低限期待する収益率を意味する。企業の価値創造度合いを判断するため最も重視されている指標だが、これまで日本企業はROEの数値向上にあまり力を入れず、平均ROEは長期間にわたって5%を下回っていた。
 
日本企業の経営者の多くは、現場での生産効率性には強いこだわりをもっている。ところが、資本の生産性については、重大な関心を払ってこなかった。本来ならば、この両方があいまって初めて企業の「生産性」が成り立つのだが、そういう認識は薄かったといえるだろう。
 
だが、こうした非対称的な状況は、グローバル経済の中ではもはや通用しない。自社の競争力を示すには、世界共通の「ものさし」で表現しなくてはならない時代になっている。その「ものさし」がROEである。
 
8%にした理由は、国内外の機関投資家に対し、日本企業の資本コスト(期待するリターン=株式の期待収益率)の水準について聞いたところ、国内投資家の平均値が6.3%、海外投資家が7.2%だったためだ。企業価値を高めるにはROEが株主が期待する資本コストを上回る必要があるので、国内外の機関投資家が期待する資本コストの平均値を上回る数字にした。
 
かつてはROEというと、「アメリカ流の経営手法だ」と見向きもしない経営者もいたが、現在、ROEを経営目標にする企業は増えつつある。ROEは、経営にとって重要な売上高純利益率、総資産回転率、財務レバレッジの3つの指標のかけ算であり、それぞれを改善することでROEを高めていくべきである。なかでも重要なのは、売上高純利益率、「稼ぐ力」をいかに高めるかだ。そして、企業の中長期的な生産性、収益性を高め、グローバル競争に勝たなければならない。

文=伊藤邦雄 イラスト=東海林巨樹 構成=野口孝行

 

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