中学受験で「社会」を後回しにすると危険な理由

中学受験 社会科専門塾「スタディアップ」代表、野村恵祐氏の著書から

中学受験を考える小学生の保護者諸氏に問いたい。わが子には国語、算数に重点的に時間を割かせ、「社会は暗記もの、最後に追い込めばいいや」と考えていないだろうか。

その思い込みはひょっとすると、取り返しのつかない後悔につながるかもしれない。なぜなら、中学受験は4教科の総合点の勝負であり、社会の1点も算数の1点もどちらも同じ1点だからだ。どんなに難しい算数の応用問題が解けたとしても、だれでも正解できる簡単な社会の暗記問題が解けなければ、中学入試で不合格になってしまうのだ。

こういった現状の中、今、「社会を一番最初に固めること」に特化した学習法の提案で、多くの父兄に支持される教育者がいる。中学受験 社会科専門塾「スタディアップ」代表の野村恵祐氏だ。

野村氏は通販を通じて年間に3000名以上の受験生やその父兄と関わり、授業形式のライブ講義も行う。テレビや雑誌などのメディアなどにも数多く取り上げられ、「テストの花道 ニューベンゼミ」(NHK Eテレ)で地理の監修を務めるほか、「プレジデントファミリー」誌(プレジデント社刊、月刊)への寄稿も多数。著書も、『中学受験は社会で合格が決まる』(講談社)をはじめ多数。また中学受験の学習塾向けに社会科テキストの監修や模擬試験製作、社会科の指導コンサルティングも行う。

野村氏に、「合否を分けるあと数点」を「社会で稼ぐ」方法を電話取材した。


実際、国語や算数にばかり時間を割き、社会を後回しにした結果、不本意な結果で中学受験が終わってしまうケースは毎年数え切れないという。特に人気校や難関校であればあるほど、覚えれば得点できる社会の暗記問題はみんなが得点してくるので、そこで失点してしまうと、合格から大きく遠のいてしまう。

野村氏は、そんな意外な「鬼門」であると同時に得点源でもある教科、「社会」に特化した、非常にデータオリエンテッドな教材開発者としても知られる。首都圏約200校と、首都圏以外の人気中学数十校で出題された問題を毎年分析し、出題率の高い777問を厳選した100ページ程度のテキストなどがその例だ。毎年、受験月の2月1週目には、「このテキストだけを暗記して社会の偏差値を上げました」などと、1週間に200通もの感謝のメールが届く。


中学受験 社会科専門塾「スタディアップ」代表、野村恵祐氏

「社会にはセンスがいらない」


野村氏はまず言う。「中学受験市場には、『国語・算数を優先的に固めて、社会は一番最後に』という固定観念が浸透しています。しかし受験はあくまで4教科の総合点の勝負。この方法には何の根拠もありません」。

実は社会は、「センス」がまったく必要ない教科だ、という。「やればやるだけ伸びる教科でもあり、後回しにしないことがとにかく大事です」と野村氏は断言する。
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文・編集=石井節子

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